30代の歯医者の選び方「予防」
あなたは、自分の歯が丈夫だと思っていませんか?
30代は、仕事や日々の生活が忙しく充実してくる年代のため、お口のトラブルがあっても、自覚症状が軽微のため、忙しいなどの理由で放置したり、対処療法的な治療で済ませてしまうことが多くあります。
一方、最近の厚生労働省の調査では20年前に比べて20歳までに虫歯になる人の割合は大幅に減っていますが、それ以降の年代では逆に虫歯は増えています。また、歯周病も同様に増加しているという結果でした。
つまり、気付かない内に、将来、歯を失うリスクを高めてしまっているのです。実際に、患者さんの中には40代で既に歯を失っている方もおりました。まさに、30代でお口の健康を管理し始めるかどうかが、人生を左右するといっても過言ではありません。
そこで、今回は発症や重症化する前に「予防」という観点から、30代からの歯医者の選び方について考えていきたいと思います。
■20歳までは、無意識に虫歯予防できている
では、なぜ20歳までの虫歯を減らすことが出来たのでしょうか?
- 1つ目の理由は学校健診や、そこでの啓発活動が功を奏したことです。
昔に比べて、予防の重要性を訴える歯科医師が増えたことによるものだと思います。 - 2つ目は、啓発活動やメディアの情報により親御さんの虫歯予防に対する姿勢が変わったことです。歯ブラシや食生活の習慣が変化したものと思われます。
- 3つ目は、フッ素による虫歯予防です。市販されているほぼすべての歯磨き粉にフッ素(※)が配合されているため、無意識のうちに虫歯予防しているのです。
以上の理由から、20歳までの虫歯を減らすことには成功しましたが、問題もあります。それは、20歳以降の年代では虫歯は増えているということです。
※フッ素については注意が必要で、使用すれば必ず予防できるというわけではありません。フッ素の効果や、正しい使い方については今後ブログで紹介します。
■虫歯が減ったことで、予防の意識が希薄に
20代前半から徐々に虫歯が増えていく原因は、お口のケアの習慣化が確立していないことと、親元を離れ食生活などの生活習慣に変化が起こったことによるものと考えられます。
つまり20歳までは、周囲の環境のお陰もあって無意識的に予防が出来ていた故に、お口のケアへの意識が結果的に希薄になってしまったということです。
本来的には、子どもの時にかかる歯医者にて、20歳までにお口の中の病気について正しく知り、お口のケアの習慣化の確立をさせることが重要なのですが、そこまで至っていないのが現状です。
したがって、20代から環境が変わる時に予防を意識できるかどうかが、その後の大きな差に繋がります。
■30代に起こりやすい無自覚の虫歯や歯周病を回避するには
それまで歯医者で正しい予防の方法や知識を提供してもらえなかったからか、あまり虫歯になった経験がないために、「自分は歯が丈夫だ」と思い込んでいる人や、歯周病を知らない人が存在します。
実際に、20代までは、それまでの蓄積のお陰で大きな問題が起きづらいのですが、30代以降の患者さんは、ほぼ皆さん虫歯や歯周病があります。
初期の虫歯はしみる、痛いなどの症状がありません。また歯周病は Silent diseases(沈黙の病気)と言われており、重症化してもなお自覚症状がありません。そのため、気付いたら大きな虫歯・重症化した歯周病になっているケースがとても多くみられます。
無自覚のまま悪化していくのを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?
それは「予防」について真剣に考えている歯医者を選ぶことです。お口の健康の知識が豊富で、予防の習慣を身に付けさせてくれる歯医者です。
一般的に歯医者に行く時は、どうしても「予防」ではなく「治療」がメインになってしまうので、「予防」が大切だと思いながらも「治療」が終わるころには、「予防」についての意識は薄れてしまうものです。
また、とても残念なことに保険制度による制限もあるため、予防の提供を諦めている歯医者も少なくはありません。
それでも諦めずに、将来に向けて一緒に「予防」を取り組んでくれる歯医者を選びましょう。予防医療があまり進んでいなかった時代に生まれた30代以降の人たちにとって、このことが将来に大きく影響するからです。
お口の健康のことで、生涯困ることがないように歯医者選びは慎重に考えたいですね。
(歯科医師:中山俊太郎)
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