予防歯科

    予防歯科

    予防歯科という言葉を最近ではよく耳にするようになりました。
    そして虫歯を予防するためには「歯のクリーニング」「フッ素塗布」を歯科医院で行う必要があるという認識が一般的です。

    しかし、定期的に歯医者に通い「歯のクリーニング」「フッ素塗布」をしてもらっているのに「虫歯になってしまった」などの声は少なくありません。
    そこで疑問に思い、当院を来院される患者さんも多くいらっしゃいます。
    ここではそのような疑問にお答えするため、「本当の予防歯科」とはどのようなものなのか、しっかりと解説していきたいと思います。

     

    お口の中の二大疾患「虫歯」と「歯周病」

    虫歯について

    予防歯科

    虫歯の原因は「プラーク」と呼ばれる歯の表面に付着している「ばい菌の塊」です。
    その「ばい菌の塊」が出す「酸」によって歯が溶ける病気が虫歯です。

    「甘いもの」や「食べかす」が虫歯の原因と思っている方も多いようですが、甘いものを食べるから虫歯になるわけではありません。

    そこで、虫歯という病気を簡単に理解するには「ばい菌」と「食事(糖質)の頻度」の2つのことについて知る必要があります。

     

    ばい菌(虫歯菌)
    予防歯科

    お口の中にはとても多くのばい菌がいますが、ばい菌がいるからすぐに虫歯になるわけではありません。

    ばい菌が成熟し「酸」を出すまでに約24時間かかると言われていますので、24時間以内に歯の表面についた「ばい菌」を取り除くことが出来れば虫歯になることはありません。

    食事(糖質)の頻度
    予防歯科

    お口の中は基本「アルカリ性」で虫歯になりにくい環境なのですが、糖質をとることでお口の中は「酸性」になります。 ほとんどの食べ物には糖質が含まれているので「食事」をするとお口の中は「酸性」となり歯が溶けやすい環境になります。

    しかし、唾液の緩衝作用によって食後1時間で「アルカリ性」に戻るため、通常、3度の食事+1回のおやつ程度では問題にはなりません。
    食事の回数が5回以上の方や、糖質を含むお菓子やジュースを頻繁に摂取する方は長時間、虫歯になりやすいお口の中の環境ということになります。

    以上のことから、虫歯を予防する方法は

    • 1日1回、しっかり「プラーク」をとること。
    • 食生活に問題がある場合には改善をすること(食事制限)。
    • フッ素(歯磨き粉)を使用すること。(フッ素については後述します。)
    となります。

     

    歯周病について

    予防歯科

    歯周病の原因も同じく「プラーク」であり、特に「歯周病菌」が悪さをします。
    「歯周病菌」が出す毒素によって歯ぐきや歯を支える繊維や骨を破壊する病気です。

    歯周病は「静かな病気」とも言われていて重症化するまであまり症状がないのが特徴です。
    そのため、日本人の成人の8割が歯周病に罹患しているとも言われています。

    しかし、軽度から中程度の歯周病がほとんどで、1日1回「プラーク」をとることで比較的簡単に改善、予防ができる病気です。
    重症化してしまうと、とても厄介で治りづらい病気ですので、虫歯だけでなく歯周病予防もすべての方に必要なのです。

     

    治療しないと予防できない虫歯

    お口の中の主な問題は、

    • 虫歯
    • 歯周病
    • 咬み合わせ
    の3つに分けることできます。

    虫歯と歯周病については前述しましたが、それは治療が必要ない歯、もしくは適切に治療がされている歯に対しての予防をメインにお話ししました。
    しかし、実際には治療や咬み合わせが悪いことによって予防しにくい状態になっていることがあります。以下、症例をどのような場合か解説していきます。

     

    1,詰め物や被せ物があっていない場合

    治療精度に問題があり、歯ブラシ・フロスでも、私たちによる専門的なクリーニングでも「プラーク」がとれない場合があります。
    ケアしやすい状態にするために、再治療が必要です。

    詰め物があっていない症例1
    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    治療前の状態
    詰め物が欠けている部位や、何度も治療した形跡(つぎはぎ)が確認できます。矢印の所の詰め物も合っていないため、大きな虫歯になっています。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    治療前のレントゲン写真
    詰め物の下に大きな虫歯が確認できます。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    歯を奥から見た状態
    詰め物が歯ぐきに覆いかぶさるように詰めてあります。
    この状態では「プラーク」が溜まってしまい、また自浄作用が及ばず、虫歯が進行してしまいます。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    詰め物をとると大きな虫歯になっていました。

     

    詰め物があっていない症例2
    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    治療前のレントゲン写真
    レントゲン写真では、金属の詰め物が合っていないことがわかります。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    金属の詰め物を外すと、歯と歯の間に虫歯を確認できました。また歯の中も大きな虫歯になっていました。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    治療前のレントゲン写真
    レントゲン写真では、金属の詰め物が合っていないことがわかります。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    治療後のレントゲン写真
    歯と詰め物の境目をなるべく適合させるように、時間をかけて丁寧に治療しました。

     

    被せ物があっていない症例1
    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    治療前のレントゲン写真
    被せ物が合っていないところの周りが、虫歯になっている事が確認できます。

     

    被せ物があっていない症例2
    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    被せ物を外した状態
    歯ぐきから出血が認められ、大量の「プラーク」が歯の周りに付着していました。 矢印の部分は歯ぐきの炎症が確認できます。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    詰めものを少しずつとっていくと、被せ物が合っていない所の下が虫歯になっていました。歯ぐきから大量に出血があったため、虫歯もはっきりと確認できません。非常に状態が悪く、治療が困難な状態です。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    虫歯治療後の状態
    歯肉の炎症をコントロールし、簡単な矯正治療と並行して虫歯治療を行いました。 なんとか歯を保存出来そうな状態にすることが出来ました。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    治療前のレントゲン写真
    被せ物がオーバーしていることが確認できます。
    この様な状態では被せ物の下にプラークが溜まってしまい虫歯や歯周病を引き起こします。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    治療後のレントゲン写真
    最終的な被せ物を入れた状態
    被せ物が歯に合っていることが確認できます。

     

    2,歯並びが悪い場合

    歯並びが悪いと必ず虫歯になるわけではありませんが、「プラーク」がとりにくいため虫歯のリスクが上がります。
    矯正治療を検討する必要があります。

    歯並びが悪い症例
    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    初診時のお口の中の写真
    歯並びが悪いことがリスクとなり、特に虫歯になりやすい部位を矢印で示します。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    歯の裏側から見た写真
    歯が重なっている部位に虫歯が確認できます。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    進行性の虫歯であったため、進行を止めるために治療を行いました。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    矯正治療を予定しているため、仮に詰め物を入れた状態です。
    矯正治療後に精密治療を行います。

     

    3,咬み合わせが悪い場合

    咬み合わせが悪いことで、特に奥歯の歯と歯の間に虫歯が起こりやすいことがあります。
    虫歯の原因は「プラーク」ですので、咬み合わせが悪いことで必ず虫歯になるわけではありませんが、リスクは上がります。解決するには咬み合わせの治療が必要になります。

    咬み合わせが悪い症例1 20代女性

    矢印の部位(歯と歯の間)に虫歯が確認できます。
    咬み合わせが悪いことがリスクになり、奥歯に虫歯の治療が多く認められます。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    上の歯

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    下の歯

    レントゲン写真からも奥歯の虫歯や治療が多いことがわかります。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

     

    咬み合わせが悪い症例2 40代男性

    黄色矢印の部位(歯と歯の間)に虫歯が確認できます。
    奥歯に虫歯の治療が多く、以前にも咬み合わせの治療・調整をした形跡も確認できます。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    上の歯

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    下の歯

    レントゲン写真からも奥歯に虫歯や治療が多く、詰め物や被せ物がとれたりとトラブルが多いことから何度も治療を繰り返していることがわかります。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

     

    4,治療が適切にされていない場合

    以前の虫歯治療に問題があることも少なくはありません。
    特に虫歯を取り残して、詰め物や被せ物が入っていることが多く、放置した場合には歯がダメになってしまうケースがあります。レントゲン等で精密検査を行い、適切な治療が必要です。

    治療が適切にされていない症例1
    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    虫歯治療で白い詰め物が入っています

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    白い詰め物をとると、中に虫歯の取り残しが認められます。放置すると歯の神経にまで感染する可能性があります。この段階では自覚症状は全くないため、精密な検査をしないと発見することは出来ません。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    虫歯を取り除いた状態
    虫歯を検知する青い薬を使用し、虫歯の取り残しがないようにします。 歯の神経に近いところまで深く虫歯になっていました。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    治療後の状態
    歯と詰め物の境目をなるべく適合させるように、時間をかけて丁寧に治療しました。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    【虫歯治療をする時は必ず使用】
    神経がある歯に使用する虫歯を検知する薬(青)
    虫歯の取り残しを防ぎます。

     

    治療が適切にされていない症例2
    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    虫歯治療で金属の詰め物が入っています

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    金属の詰め物をとると、中に虫歯の取り残しが認められます。すでに歯の神経は治療されていました。 神経がないために痛みを感じることはなく、自覚症状も出にくいため、この様な場合、発見が遅れることもあります。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    虫歯を検知する赤い薬を使用し、虫歯の取り残しを確認しながら治療を進めていきます。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    虫歯を取り除いた状態
    歯ぐきの下まで深く虫歯になっていました。 歯ぐきを傷つけないように糸を入れ(矢印)保護しながら虫歯をとっていきます。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    【虫歯治療をする時は必ず使用】
    神経がない歯に使用する虫歯を検知する薬(赤)
    虫歯の取り残しを防ぎます。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    治療前のレントゲン写真
    内部に大きな虫歯を確認できます。

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者で予防歯科

    治療後のレントゲン写真
    虫歯治療が完了し、最終的な詰め物を入れた状態
    症状もなく、安定させることが出来ました。

     

    以上、治療をしなければ予防することが難しい状態を紹介しました。
    虫歯の予防をメインにしましたが、歯周病の原因も同じく「プラーク」であり同じことが言えます。
    お口の中の状態は人によって違うので、治療をする際には歯科衛生士や歯科医師とよく相談が必要です。

     

    結論

    定期的に歯医者に通い「歯のクリーニング」「フッ素塗布」をしてもらっているだけでは、虫歯や歯周病は予防できません。
    予防するには普段のセルフケアで、しっかり「プラーク」をとることが必須条件です。

    あなたは「プラーク」がどのくらい取れていますか?

    予防歯科

    しっかり「プラーク」をとると言われても、「計るもの」がなければ「取れているか」がわかりません。 「歯ブラシはしっかりとやっているし、とれているはず。」と思う方もいるかもしれません。

    しかし、「プラーク」は歯と同じ色をしているため、そのままお口の中を見ただけではわかりません。 そこで、私たちはプラークを赤く染めだすこと(写真)でとれているかの判断をしていきます。

    私たち専門家でも、「プラーク」は見えずらい物なので、赤く染めてそれを数値化していきます。例えば、プラークが半分取れている方は50%となります。

    自分のセルフケアでプラークがどのくらい取れているか調べることをお勧めしています。そして「プラークコントロール」がしっかりと出来るようになるために歯医者に通うべきではないでしょうか。

    →予防プログラムについて
    →歯科総合精密検査について

     

    間違った歯のクリーニング

    予防歯科

    間違ったタイミングや方法で「歯のクリーニング」をすることで、歯に傷がついたり、最悪の場合には虫歯や歯周病が悪化することもあります。

    今まで歯のクリーニングで「血だらけになった」、「歯がとてもしみた」、「とても痛かった」、「ガリガリやられた」、「回転するブラシでゴリゴリやられた」と感じたことがあるならば、それは間違ったタイミングや方法での「歯のクリーニング」かもしれません。

    当院では通常、精密検査でお口の中の現状を把握し、セルフケアの重要性や習慣化を理解した上で、ご自身で十分に「プラーク」が取れる状態になってから「歯のクリーニング」を行います。

    「なぜ、すぐにクリーニングが出来ないのか?」と思われてしまうかもしれませんが、それは間違ったタイミングや方法だからです。
    研究でもそのようなクリーニングに虫歯や歯周病の予防効果はないと結論が出ています。

     

    画期的な歯のクリーニング方法 

    予防歯科    

    前述した通り、当院では十分に「セルフケアできる状態」にならなければクリーニングを行うことはありません。
    また、歯に傷がつくため回転式のブラシにペーストをつけて歯を磨くこともしません。

    当院でのクリーニングは歯ブラシやフロスの他にEMS社の「エアフロー」使用します。

    「エアフロー」とは空気の力で水とパウダーを歯に吹き付けクリーニングを行う方法で、全く歯に傷をつけることなくクリーニングを行うことが出来ます。
    また、進化した「エアフロー」は10段階のパワーの調節が可能で、歯や歯ぐきに負担なくクリーニングが出来るようになりました。

     

    フッ素塗布の効果

    予防歯科 

    定期的に高濃度のフッ素を歯科医院で塗布する方法よりも、毎日フッ素入りの歯磨き粉を使用する方が効果が高いとされています。
    当院ではフッ素入りの歯磨き粉を1日2回使用することを推奨しています。

    しかし注意点として、フッ素に予防に効果がある事は間違いありませんが、全ての虫歯を予防することは出来ないことです。
    フッ素はあくまで補助的な役割であると理解した方が良いと思います。

     

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