歯のガス抜きとは?ガス抜きの方法や必要となる症例を解説
2025/03/10

こんにちは。船堀(東京都江戸川区)の歯医者、ライフケアデンタルオフィスです。
「根管治療の際にガス抜きをするといわれたけど、何をするのかよくわからない」
「歯のガス抜きは何のために必要なんだろう…?」
歯のガス抜きという言葉はあまり一般的ではないため、聞いたことがない方も多いかと思います。
また、耳にしたことはあってもそれが具体的に何を指すのかがわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、歯のガス抜きの目的や具体的な方法について解説します。
歯のガス抜きとは

歯のガス抜きとは、歯の内部に蓄積した膿やガスを排出し、痛みを緩和するための方法です。
ガス抜きが必要となるのは、歯の根の先に細菌が侵入し増殖することで、多量のガスが発生し、膿が形成された場合です。
細菌の活動によって生じるこの膿やガスが、歯や周囲の骨に圧力をかけることで、激しい痛みを引き起こします。
ガス抜きは根管治療の一環として行われる処置であり、痛みの緩和だけでなく、歯を保存するためにも欠かせない工程です。
ガス抜きが必要になる症例

ガス抜きが必要になるのは、虫歯が重症化し、根管治療が必要な状態に達したときです。
虫歯が進行すると、細菌がエナメル質や象牙質を越えて歯髄に達し、内部で炎症を引き起こします。
これがさらに進行し、歯髄から歯根を通じて細菌が広がると、内部でガスや膿が生成されます。
根管治療では、感染した歯髄を取り除き、根管を清掃して密封しますが、圧力が高いためにガス抜きが必要とされることがあります。
この処置を行うことで、感染拡大を防ぎ、歯の機能回復を図ります。
ガス抜きの方法
歯のガス抜きは、根管開放と呼ばれる方法で行われます。
根管開放の手順としては、まず、感染した歯髄を除去し、根管内を清掃します。
その後、通常であれば仮封を施すところを根管を開放状態にしておくことで、ガスや膿が自然に放出されるのを待ちます。
根管開放を行うことで痛みや炎症の軽減を見込むことができ、歯を保存するための次のステップへと移行することができるようになります。
根管開放の注意点
治療を中断しない

根管開放を行った後に何よりも重要なのは、治療箇所をそのまま放置せず、その後の治療をきちんと進めることです。
決められた通院日に予定などが入り受診ができなくなってしまった場合でも、必ず次の治療予定を立てて通院しましょう。
根管を長期間開放していると、口腔内の細菌によって再感染のリスクが非常に高くなります。
根管開放の期間はできる限り短くすることが推奨されており、決められた治療計画に沿って治療を完了させることで、再感染の防止と治療の成功率を高めることができます。
食事の際は反対側の歯をなるべく使う
治療中の歯に過度な負担をかけないようにすることも大切です。
食事の際には、治療部位で食材をかむのはできるだけ避け、反対側の歯を使うようにしましょう。
また、硬い食べ物や粘着性の高い食べ物を控え、柔らかく、強くかむ必要の少ない食材を選ぶようにしてください。
治療箇所に汚れが残らないようにする

治療箇所を清潔に保つことは、治療後の経過を良好にするために欠かせません。
普段の口腔ケアよりも時間をかけて丁寧に歯を磨き、特に治療箇所周辺には食べかすや汚れが残らないように注意しましょう。
食後には水で口をすすぐようにしたり、柔らかい歯ブラシを使用して治療部位を傷つけないようにしたりすることも大切です。
悪臭が出る可能性がある
根管の開放後、ガスや膿を排出する際に一時的に悪臭が発生することがあります。これは、感染した組織の分解によって生じるもので、通常は時間とともに軽減されます。口臭が気になる場合には、こまめなうがいや、口腔内の清掃を徹底し、臭いを軽減しましょう。
根管治療にかかる期間

根管治療の期間は、症状の程度などにより患者さんごとに異なるため一概にはいえませんが、基本的には2〜3回の通院で完了するのが一般的です。
1回あたりの治療時間は30分程度である場合が多いですが、治療の複雑さや治療箇所によって所要時間や回数が増えることがあります。
特に再治療や複雑な症例においては、治療が長引くことも視野に入れ、歯科医師と十分に相談のうえで計画を立てることが重要です。スケジュールを事前に組んでおくことで、根管治療の途中で治療が中断してしまうのを避けやすくなります。
当院では、マイクロスコープを使用した精密根管治療により、最短1回での根管治療も可能です。
⇒精密根管治療について
根管治療後の補綴治療

根管治療後は、プラスチックや金属、セラミックなどのかぶせ物で、失った歯の機能を補います。
プラスチックや金属は保険適用のため費用負担が抑えられており、セラミックは自由診療とはなるものの白く自然な見た目と耐久性を持っているという利点があります。
また、セラミックはそのほかの補綴物に比べて劣化しにくく、二次虫歯ができにくいというメリットもあります。
それぞれの素材にメリットとデメリットがありますので、予算や見た目、再発のリスクなどを総合的に判断して、自分に合う素材を選ぶようにしましょう。
根管治療を中断した場合のリスク

根管治療の中断には、大きなリスクが伴います。
開放された根管を放置すると、再感染のリスクが高まり、細菌が歯髄だけでなく周囲の骨にまで感染を広げる可能性があるためです。
この状態が続くと、激しい痛みを引き起こすだけでなく、歯の神経が壊死してしまうこともあります。
神経が壊死し痛みがなくなったことで日常的なストレスは軽減するかもしれませんが、実際には問題がさらに悪化している兆候です。
最終的には、感染が骨にまで及ぶことで、抜歯が必要になる恐れもあります。
このようなケースを避けるためにも、治療は中断せず、計画的に進めることが大切です。
治療を中断することで生じる痛みの再発や歯の喪失を防ぐために、通院を継続し治療をしっかりと受けるようにしましょう。
まとめ

歯のガス抜きは、痛みの改善だけでなく、歯を長く健康に保つためにも大切です。
根管開放をすることで痛みがなくなり、治療が終わったと勘違いしてしまう場合もあるかもしれませんが、治療を中断してしまうと再感染やそれによる抜歯のリスクが高くなります。
自己判断で中断することなく、最後まで治療を受けるようにしましょう。
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