歯牙移植とは?適用条件や費用の目安を解説
2025/02/20

こんにちは。船堀(東京都江戸川区)の歯医者、ライフケアデンタルオフィスです。
歯を補う方法には入れ歯やブリッジ、インプラントなどがありますが、それ以外にも「歯牙移植」という選択肢があることをご存じでしょうか。
自分の歯をほかの部位に移植するこの方法は、入れ歯やインプラントよりも自然な見た目とかみ心地を得ることができます。
しかし、どのような場合に歯牙移植が可能になるのかを分からない方は多いかと思います。
そこで今回は、歯牙移植の概要から適用条件、メリットとデメリット、費用の目安について解説します。
歯牙移植とは

歯牙移植は、歯を失った場所にその患者さん自身の別の場所にある健康な歯を移植する治療法です。
一般的には親知らずをはじめとした自身の健康な臼歯を用いるため、自分の体の組織となじみやすく、見た目にも機能的にも自然であるというメリットがあります。
ただし、歯牙移植をするためにはいくつかの条件があり、治療の際には、移植する歯の健康状態や移植される場所の骨の状態といった項目をクリアする必要があります。
移植と再植の違い
歯牙移植と混同される処置に再植がありますが、「移植」と「再植」はその内容が異なります。
再植は、一度抜けてしまった歯や故意に抜いた歯を元の位置に戻すことを指しており、外傷や事故、または治療がうまくいかずに抜けた歯に対して行います。
再植は、歯の保存と即時固定が治療の鍵となりますので、もし外傷や事故などで歯が抜けてしまった場合には、損傷や汚れの付着が起こらないように注意し、早急に歯科医院に持ち込みましょう。
その際は、歯を乾燥させないことが大切ですので、生理食塩水や牛乳などに保存して持ち込むようにしてください。
一方の移植は、異なる位置にある健康な歯を、歯を失った部分に移す処置を指します。
主に使われるのは親知らずですが、条件さえ整えばほかの歯を使用することもできます。
歯牙移植の適用条件

歯牙移植にはいくつかの適用条件があり、それによって治療後の経過も大きく左右されるため、事前の診断が重要です。
まず大切になるのは、移植に利用できる健康な歯があることです。
多くの場合、親知らずが候補に挙がりますが、骨格やスペースを考慮してほかの歯が選ばれることもあります。
さらに、移植する歯と受け入れ先のスペースのサイズや形状が一致していることも重要です。
歯がきちんと収まることで、機能的かつ審美的に違和感の少ない結果が見込めます。また、移植される歯の歯根膜が健康であることも必須条件の一つです。
歯根膜があることで、移植後にきちんと歯が定着し、骨との一体化が促進されます。
そのほか、患者さんの口腔内環境や健康状態も考慮しながら総合的に判断されます。
また、このような条件がそろっていたとしても、移植や再植には治療後のリスクがあることも知っておく必要があります。
具体的には、歯根膜が定着せずに抜け落ちてしまうリスク、歯根膜が損傷していた場合にその箇所から虫歯になるリスク、骨との癒着リスクなどがあります。
歯牙移植のメリット

歯牙移植の代表的なメリットは、治療後の違和感が少なく、自然な感触を得られる点です。
自分の歯を移植するため、入れ歯やブリッジに比べて違和感が少なく、異物感のない状態で食事や会話が楽しめるようになります。
加えて、入れ歯やブリッジのように、周囲の歯にばねをかけたり、周囲の歯を削ったりといった処置を必要としません。
そのため、ほかの健康な歯に過度の負担をかけることがない点もメリットです。
また、移植後に矯正治療を行うことができる点もメリットです。
全体のかみ合わせや歯列の調整が行えるため、より長期的な口腔の健康を考慮した治療計画を組むことが可能です。
さらに、歯根を残せるため、歯の生理学的な感覚を維持しやすく、自分の歯としての機能を長く保ちやすいというメリットもあります。
そして、費用面での負担が少ない点もメリットといえます。
条件が合えば健康保険が適用されるため、入れ歯やインプラントといった治療に比べて経済的な負担を軽減できます。
健康保険が適用される条件は、親知らずを利用することであり、親知らず以外の場合は自由診療となります。
歯牙移植のデメリット

メリットが多い歯牙移植ですが、当然ながらデメリットもありますので、しっかりと理解しておきましょう。
まず、移植の適用条件が厳しいという点が挙げられます。ちょうどいいサイズと形状の歯が存在すること、そして患者さんの口腔状態がその移植に適しているかが重要で、これらの条件がすべてクリアされなければ歯牙移植はできません。
ご高齢の方は定着が難しい場合が多いため、年齢や全身の健康状態も考慮されます。
また、外科手術が必要な点もデメリットといえるでしょう。
手術の際には歯根膜を傷めないように慎重な処置が求められ、患者さんにとって身体的な負担がかかります。技術力と経験が不可欠な手術であり、リスクも伴います。
そのため、歯牙移植に対応している歯科医院は多くなく、近隣に対応可能な歯科医院がない場合もあります。
さらに、前述したように移植後に脱落や骨との癒着といったリスクがあり、何十年も長く使っていくのは難しいということも覚えておきましょう。
歯牙移植の費用目安

歯牙移植の費用は保険適用の有無により大きく異なります。
親知らずを使って移植するケースでは保険が適用されるため、3割負担の場合には5,000円から1万円程度が目安となります。
保険が適用されない自由診療のケースでは費用は歯科医院ごとに異なります。
そのため一概にはいえませんが、7万円から10万円以上の治療費がかかると考えておきましょう。
費用が高額になるため、対応している複数の歯科医院で費用の詳細を確認し、歯科医師とよく相談のうえで、納得のいく選択をすることが大切です。
まとめ
歯牙移植は、失った歯を補う方法の一つです。
自分の歯を利用することで、自然な見た目と機能を取り戻せる可能性があります。
しかし、移植に適用される条件が厳しく、手術自体にもリスクが伴うため、事前の詳細な診断と歯科医師の選定が不可欠です。
治療のメリットとデメリットを十分に検討したうえで、納得のいく治療を見つけるようにしましょう。
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