小児矯正と成人矯正の違いって??

      2024/05/10

親御さんから、よく
矯正は大人になってからでも出来るから、わざわざ子供の時にやらなくても良いのではないでしょうか?
というご質問を受けることがあります。

もちろん、歯並びや噛み合わせは大人になってからでも矯正できるのですが、子供の時にしかできない治療もあるのです。

小児矯正と成人矯正の違いは、ただ単に治療を行う時期が違うだけではありません。
一番の違いは、”顎の成長コントロールを行う”という点で異なり、使用する装置はもちろんの事、治療の診断も異なってきます。
小児矯正も成人矯正も、「歯並び・噛み合わせを正しくする」というゴールは一緒なのですが、成人矯正は、歯の位置を動かして歯並びや噛み合わせを調整するのに対し、小児矯正は生えている歯の土台となる、顎の幅や形をコントロールすることによって、すべての歯を本来あるべき位置へと導くよう調整していくのです。

歯の位置を動かす治療は高齢になっても可能ですが、顎の骨の場合、成長・発育時期が終わったら、変形したり移動したりすることは出来ません。
ですから、成長・発育時期の、まだ顎の成長コントロールが可能なお子様のときに、顎が適切に成長しいるかの診察をし、必要に応じて専門医の治療をうけて正しい方向に導かせることがとても大事です。

 

小児矯正のポイントは、顎の成長のコントロール

顎の成長をコントロールするためにはまず、顎の成長が適切に行われているかどうかをしっかりと見極める必要があります。

もし、成長が適切に行われていないとしても、早期に発見・対策出来れば、将来、抜歯や大がかりな治療を行わなくても良くなる可能性もあるので、もしもそのような傾向が見られた場合でも悲観せずに、まずは早めに、信頼出来る矯正医に相談して頂きたいと思います。

そのためには、保護者の方が、お子様の顎の成長が適切かどうかをしっかりとチェックする必要がありますので、ここからは、そのポイントについて書かせて頂きます。

 

顎の成長の見極めポイント

顎の成長の見極めポイントは、ひとことで言うと、「顎のズレ」がないか?という所にあります。

「顎のズレ」と一言で言っても、

  • 前後のズレ:受け口、反対咬合、上顎前突(出っ歯)などを引き起こす
  • 左右のズレ:交叉咬合などを引き起こす
  • 上下のズレ:開口(奥歯は噛んでいる状態でも前歯が噛み合わない)などを引き起こす

といったように様々あり、その原因も、顎の成長による先天的なものもあれば、環境や癖によってなる後天的なものもあります。

中でも、特に先天的な要因でなりやすいのは、1、前後のズレ です。
お子様の歯並びの異常として”受け口”の症例が多いのも、ちょうど成長中の時期だからこそ、成長のアンバランスが発症しやすいからともいえるでしょう。

お子様の歯が、上の前歯よりも下の前歯の方が前に出てきてしまっていたら、上顎が発達していない、もしくは下顎が発達しすぎているために、受け口になってしまっている可能性がございます。

 

前後のズレの症状

この前後のズレの症状としては主に、下記の2種類に分けることが出来ます。

  • 下顎が上顎よりも前に出ており、受け口になっている。(下顎前突、反対咬合)
  • 上顎が大きい、または下顎が小さい事で、出っ歯になってしまう。(骨格性上顎前突)

症状は異なりますが、上記はいずれも、上顎と下顎の発達がアンバランスに行われてしまった時に見られる症状です。

 

成長曲線のパターン

実は、上顎と下顎は同時に成長するのでははく、先に上顎、その後に下顎、という順番に成長します。
こどもが成長する際は、すべての臓器、機能が同時に成長するのではなく、各部位によって成長曲線のパターンがあります。
そのパターンは4つに分かれております。

1、神経型

脳神経の発育が、のタイプに当たります
発育の目安は脳の重量や頭囲で計られます。
出産直後より急速に発達し、4-5歳までには成人の80%程度にも達するという、4つの中でも最も早く発育する器官です。

2、一般型

身長や体重、肝臓・腎臓などの臓器の発育がこのタイプに当たります。
その曲線は、まず乳幼児までに急速に発達した後、次第に緩やかな曲線になり、二次成長が見られる思春期に再び急速に発育していきます。
女の子では小学校高学年頃、男の子では小学校高学年~中学生頃が旺盛な時期となります。

3、リンパ系型

扁桃やリンパ節などの、リンパ組織の発達がこのタイプに当たります。
生後から12-3歳までの間に急激に発達し、ピーク時は大人のレベルを超えますが、思春期過ぎから徐々に大人のレベルまで戻っていくような曲線を描きます。

4、生殖器系型

小学校前半まではわずかに成長するのみですが、14歳あたりから急激に発達します。
生殖器系の発達により、男性ホルモンや女性ホルモンの分泌も多くなり、男性はより男性らしく、女性はより女性らしい体つきに代わっていきます。

このうち、顎の成長は、2、一般型に分類されるのですが、上顎は、頭蓋底(とうがいてい)と呼ばれる、頭蓋骨の底の骨と一体化しているため、一般型でありながら、1、の神経型の影響を受け、丁度、一般型と神経型の中間の成長曲線を描きます。
逆に下顎は、一般型とほぼ同じ曲線を描きますので、下顎よりも上顎の方が、早い段階で成長発育するという事になります。

つまり、顎の成長をコントロールすることも野矯正を始める時期としては、上あごの成長を促す必要のある受け口・下顎前突・反対咬合のお子様の場合は、5~8歳ぐらいの早めの時期に始めた方が望ましく、逆に下あごの成長を促す必要のある出っ歯・上顎前突のお子様の場合は、小学校中学年から高学年位に始めた方が望ましいと言えます。

ただし、個々のお子様によって成長スピードはさまざまですし、それぞれ、対応は異なりますので、気になる方は是非ご相談下さい。

 



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