重度歯周病の場合の治療法について

      2024/04/20

こんにちは、江戸川区船堀のライフケアデンタルオフィスです。

現在、30歳以上の日本人の80%が歯周病である、という事を、耳にした事のある方も多いのではないでしょうか? また、30歳以上の日本人が歯を失う原因の1位も、歯周病であると言われております。

実際、重度の歯周病になってしまうと、歯を支えている骨がどんどん溶けていってしまいますので、歯も一本だけではなくて複数本、まとめて抜けて行ってしまう場合も多く、非常に怖い病気と言えます。
歯周病は自覚症状のない病気ですので、重度になって初めて慌てて歯科医院に飛び込んでくるのですが、その時にはもう手遅れで、抜歯宣告をされてしまうケースも少なくありません。

そうならないよう、早い段階で歯科医院を受診されることをおススメしますが、もし歯周病が進行してしまった場合でも、歯周外科手術によって歯茎や骨を回復させ、歯を残すことが可能になりました。

今回は、その歯周外科治療について詳しく紹介していきます。

 

歯周外科治療とは

歯周外科治療には、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 歯周ポケット掻爬術
  • 歯肉剥離掻爬手術(フラップ手術)
  • 歯肉歯槽骨整形手術
  • 歯周組織再生療法

 

1,歯周ポケット掻爬術

歯周ポケット掻爬(そうは)術は、歯周外科治療の分野ではありますが、歯肉の切開などの手術を伴うものではなく、スケーラーと呼ばれる、歯石を除去するために用いられる歯科用器具を用いて行います。
また、適応症例も、上記の2,3よりも比較的軽度の”中度歯周病”の患者様に対して行われるか、 重度の歯周病で上記2,3の外科処置を必要としている患者様に対して、歯肉の炎症を抑える目的で行われたりします。

具体的には、歯肉に麻酔をし、 歯根の表層に付着した汚れや、歯周ポケット内壁の汚れをスケーラーという器具を使って丁寧に取り除いて行きます。
そもそも、歯周ポケットが出来る原因は、歯茎に細菌が溜り腫れてしまう事が原因ですので、その細菌を取り除き、歯根面と歯茎を清潔にしてあげることで、歯根面と歯茎が再び付着し、汚れが溜まりにくい環境を作ることが出来るのです。

しかし、もし上記の歯周ポケット掻爬術を行っても改善しない場合は、2、の歯肉剥離掻爬手術(フラップ手術)を行う必要が出てきます。

 

2,歯肉剥離掻爬手術(フラップ手術)

歯肉剥離掻爬手術(フラップ手術)とは、歯肉を切開してはがし、歯根についた歯石を除去する手術です。

前途の歯周ポケット掻爬術を用いても歯周ポケットが深いために器具が奥まで届かず、完全に除去できないような場合に行いますが、歯周ポケット掻爬術の場合、歯茎の中に器具を入れる暗視下での行われるのに対し、歯肉剥離掻爬術は、歯茎を切り開いて歯根をむき出しにし、実際に目で確認しながら処置をすることが出来るため、隅々まで取りこぼしがなく、歯根を清潔に出来るというメリットがあります。

また目で確認しながら処置を行うことが出来るため、歯槽骨整形術という外科処置を合わせて行う事で骨が溶かされてデコボコになってしまったところを、綺麗に平らに治す事も出来ます。

骨がデコボコのままだと、その骨の形がそのまま歯肉の形となって形成されてしまうため、例えば歯と歯との間の骨にくぼみがあれば、手術後に歯肉にもくぼみが見られるようになり、その場所に汚れが付きやすくなり歯周病の再発リスクが高まってしまいます。
それを防ぐためにも骨を平らに整えてあげることが有効なのです。

このように、歯肉剥離掻爬手術を用いることで、より重度の歯周病にも対応することが出来るのですが、とは言え、歯周ポケット掻爬術と違い、歯肉を切開する必要がありますので、痛みや感染などのリスクは出てきます。
術後は、切った歯茎を縫い合わせ、一週間後に抜歯を行う事になりますので、その間は傷口を刺激しないように注意が必要です。
また、この手術は技術を要するため、行っている医院も少ないのが現状です。

 

3,歯肉歯槽骨整形手術

歯肉歯槽骨整形手術は主に、歯肉整形術と歯槽骨整形術に大別され、骨が痩せてしまっているなどの重度の場合は、歯周組織再生療法と併せて行われます。

歯肉整形術とは・・・

歯茎が炎症を起こして腫れあがってしまった場合に行われる手術です。
不要な歯茎を切除し、歯と歯茎の間に食べカスやプラークが停滞しにくい環境を作ります。
またその他、薬剤などで増大してしまった歯肉の切除などと言った審美性の回復を目的として行う場合もあります。

比較的簡単な手術で、数分~数十分で手術は終わりますが、注意点としては、歯茎を切除しすぎてしまった場合、歯根が露出して知覚過敏や根面カリエスになってしまう可能性もありますので、事前の十分な診査、診断が必要です。

 

歯槽骨整形術とは・・・

歯周病菌によって骨が破壊され、骨がデコボコになったり穴があいてたりといった、異常な形態になってしまった場合に行われる手術です。主に歯肉剥離掻爬手術(フラップ手術)と同時に行われます。
歯槽骨の表面がデコボコのままだと、歯肉もデコボコになって形成されてしまうため、隙間に汚れが溜まりやすくなったり、メインテナンスの際に十分に汚れを落とせない部分が出来てしまいます。
そうすると歯周病が再発するリスクが高まってしまうために、この歯槽骨整形術によって歯槽骨のデコボコを滑らかな状態にしてあげるのです。

上記の治療法で回復する場合もありますが、歯周病が進行しており、骨が痩せてしまっている場合や、歯を支える骨が足りない場合には、歯周組織再生療法を併用し、歯周組織の回復も同時に行うケースもあります。

 

4,歯肉歯槽骨整形手術

歯周組織再生療法と一言で言っても、いくつかの方法がありますが、中でも、GTR法(組織誘導再生法)とエムドゲインという治療法が一般的に使われている治療法です。

GTR法とは

歯茎を切って開いたところに、「メンブレン」という膜を置き、失った組織の自然再生を待つ方法です。

何故、歯槽骨が自然再生するためにこの「メンブレン」という膜を設置しなければいけないかというと、歯槽骨が再生する速度よりも歯肉が再生する速度の方が速いため、この膜を設置しなければ、歯肉が本来歯槽骨が再生されるスペースを塞いでしまい、歯槽骨が再生出来なくなってしまうためです。
この方法で用いるメンブレンは、主に患者様自身の血液から生成する方法を行っており、感染の危険性が極めて低い状態で骨の再生を期待することができますが、膜を設置する手間がかかりますし、膜が露出すると失敗することもあります。

また、 適応となる症状は、一般的には中等度に進行している場合で、あまりにも重度に進行してしまった場所に行うことはできません。
この治療法に適応する症状をきちんと選ばないと、失敗する可能性が高くなってしまいますので、綿密に診断を行った上で治療を開始する必要があります。

エムドゲインとは

エムドゲインとは、歯周組織再生誘導材料と言われるもので、スウェーデンのビオラ社で開発された、現在最も新しい薬で、子供の頃、歯が生えてくる時に重要な働きをするたんぱく質の一種をその主成分としています。
このエムドゲインを、歯肉を切開して歯根面を徹底的に清掃した後に、歯の根の骨を失ってしまった部分に塗ることにより、歯が生えてくる時と同じ環境を再現します。

エムドゲインもGTR法も、歯周病で吸収した骨を再生させるといった点では基本的に同じ治療方法ですが、大きな違いは、GTR法がもともと生体がもっている骨を再生させる能力を応用した治療法であるのに対し、エムドゲインは、骨の再生を促進させるための、特殊なタンパク質を使用することにあります。

また、GTR法は、歯肉の中に特殊なシート状の膜をいれますが、エムドゲイン法は薬を入れるだけですので、治療としては、エムドゲイン法の方が簡単です。

ただ、どちらの方法が良いかが症例によって異なりますので、必ずしもエムドゲインの方が優れているとは限りません。
また当然ながら、症例によって適応出来ないものもありますので、まずはこの治療法を実施している歯科医院へ相談されてみることをおススメいたします。

 

重度歯周病の方も、まずはご相談ください

デンタルインタビュー

当院では、綿密な診断の上、患者さま一人一人に合わせた最適な治療を提供できるよう、さまざまな治療メニューをご用意しております。
お悩みの事があれば一度、ご相談にいらしてください。

 



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