歯がつながって生えてきた!?癒合歯(ゆごうし)について

      2023/11/10

こんにちは、江戸川区船堀の歯医者、ライフケアデンタルオフィスです。

時折、保護者の方から
「子供の乳歯が2本つながって生えてきた」
「変わった形の歯が生えてきた」
といったご相談を受けることがあります。

これは、乳歯で比較的よく見られる「癒合歯(ゆごうし)」と呼ばれる歯であることが多いです。
そこで本日は、この「癒合歯(ゆごうし)」について詳しくご紹介していきます。

 

癒合歯(ゆごうし)とは

本来、通常であれば一本ずつ生えてくるはずの歯が、特定の状況下で2本くっついて生えてきてしまった歯を癒合歯(ゆごうし)と呼びます。

癒合歯にはいくつか種類があり、特に、2つの歯が歯の象牙質の部分でくっついているものを「癒合歯」、2つの歯が歯のセメント質の部分でくっついているものを「癒着歯」、1つの歯が2つ以上に分裂して形成されたものを「双生歯」と呼んだりもします。
癒合歯は、永久歯よりも乳歯の方が発生する確率が高く、日本では3~4%の確率で見られます。

癒合歯が発生する原因はいまだにはっきりと解明されていませんが、母親のおなかの中にいる胎児の時にくっついてしまうと言う説が一般的です。

 

癒合歯(ゆごうし)が存在することによるリスク

癒合歯自体は、その存在が何か問題になるということはありませんので、くっついた部分をわざわざ切断したりする必要はありません。
しかし、癒合歯があることで発生しやすいリスクはありますので注意が必要です。

 

虫歯になりやすい

癒合している歯は、形がいびつだったり境目部分が凹んでいて溝になっているため、そこに汚れが溜まりやすく、むし歯になりやすい状態になっています。
癒合歯が存在する場合は、歯ブラシだけではなく、フロスなども上手に活用しながら丁寧にケアをする必要があります。

 

永久歯が存在しない可能性が高い

永久歯は、先に生える乳歯の存在を確認してから顎の中で形成されます。
そのため、2本の乳歯が癒合していると「乳歯は1本」とみなされて、永久歯の芽も1本分しか作られず、生え変わる永久歯の本数が少なくなることがあります。

データによると、乳歯に癒合歯がある場合、その後に生えてくる永久歯の数が不足している割合は50%弱という研究報告もあり、将来的に歯の数が正常ではなくなり歯並びや噛み合わせに影響がでる可能性があります。

永久歯が存在するかどうかはレントゲン写真で確認することが出来ますので、癒合歯がある場合は、まずはレントゲンを撮ってもらって永久歯の有無を確認することをお勧めいたします。

 

永久歯への生え変わりがスムーズにいかない可能性がある

乳歯が永久歯に生え変わる際、通常は、後に生えてくる永久歯が乳歯の根の部分を溶かして吸収(歯根吸収)することで、根を溶かされた乳歯が自然に抜け落ち、その後、空いたスペースに永久歯が生えてくるという流れで生え変わります。
しかしながら癒合歯の場合、他の通常の歯のように乳歯の根が上手く吸収されず、自然に抜けることが難しい場合があります。

乳歯が抜けないままだと、そのスペースに永久歯が生えてくることが出来ないため、乳歯の横から永久歯が生えてしまったりする場合もあります。

 

永久歯の歯並びに影響を与える可能性が高い

癒合歯は2つの歯がくっつていますが、大きさは2本分ではなく、約1.5本分の歯のサイズになることが多いです。
しかし、その後に生えてくる永久歯が2本ある場合、1.5本分のスペースに2本の永久歯が生えてくることになるため、スペースが圧迫され、歯がねじれたり外側にはみ出したりするなど上手く並ばないことがあります。

また、生えてくる永久歯が1本の場合も、永久歯の数が足りないために左右対称の噛み合わせを得ることが難しく、歯並びに影響が出る場合が多くあります。

 

癒合歯(ゆごうし)があった場合の対応、治療

癒合歯が見つかったからといって、慌てて治療をしたりする必要はありません。
ですが、癒合歯は特に歯の生え変わりの時期(5~6歳ごろ)に注意して観察する必要がありますので、生え変わり時期の前までには下記の対策をし、将来のリスクに備えておくことをおススメいたします。

 

まずはレントゲンで永久歯の有無を確認する

癒合歯の乳歯が抜けた後、生えてくる永久歯が存在するかどうかによって、治療方針が異なります。
そのため、まずはレントゲン撮影を行い、永久歯があるかどうかを確認することが必要となります。

永久歯がある場合は、その後に生えてくる永久歯が正常に生えてくるようにサポートしながら経過観察を行いますが、永久歯がない場合、その癒合歯である乳歯をなるべく長持ちさせるように、適切な予防処置と経過観察を行うことが基本になります。

とはいえ、乳歯は永久歯に比べて根が短かったり、柔らかかったりと弱く、残念なことにあまり長持ちしてくれません。
いずれ治療が必要になるにしろ、しかるべきタイミングまで乳歯に頑張ってもらう必要がありますので、より大事にケアをしてあげることが大切です。

乳歯が抜けてしまった後は、その空いてしまったスペースを矯正治療によって埋めるか、人工の歯(入れ歯・ブリッジ・インプラント)で補うといった治療法が検討されます。

 

生え変わりに問題が生じ永久歯が出てこれない場合、乳歯を抜歯する

レントゲンによって永久歯の存在が確認された場合、生え変わりがスムーズに行われるようにサポートをしてあげる必要があります。

前途のように、乳歯が癒合歯の場合、歯根吸収がうまくいかずに乳歯がなかなか抜けず、永久歯が横から生えてきてしまうなど、永久歯への生え変わりがスムーズにいかない可能性があります。
そのため、レントゲンによって歯根吸収の状況を確認し、永久歯がすぐ近くまで生えてきているにもかかわらず乳歯が抜ける気配がない場合、乳歯を抜歯することで永久歯が正常に生えてくるように調整する必要があります。

 

歯並びに問題が生じた場合、矯正治療を行う

乳歯が融合歯であった場合、その後に生えてくる永久歯の歯並びに影響を与える可能性が高いです。
そのため、生えてきた永久歯の状況によっては矯正治療が必要になる場合もあります。
永久歯の有無や本数が早めに把握できれば最小限の治療で対応できる可能性もあります。

 

虫歯にならないよう、癒合歯の溝に「シーラント」をする

癒合歯はしっかりとブラッシングできていれば問題ないことも多いですが、特に舌側(内側)の溝は深いことが多く、歯ブラシも届きにくいなど物理的に清掃が困難な場合も多くあります。
そういった場合は、溝の部分をシーラントというプラスチック素材で埋める処置を行うことで、むし歯のリスクを下げることが出来ます。

シーラントは歯を削る必要もなく、痛みも全くございませんので、小さなお子さまでも安心して処置ができます。
またシーラントにはフッ素が含まれているため、歯の表面を強化してくれる効果もあります。

 

まとめ

癒合歯は、乳歯においては意外と発生率が高く、永久歯へ影響を及ぼす可能性も高いという特徴があります。
特に生え変わりの際には様々なリスクが発生しますので、生え変わり時期の前には歯科医師に、その後の対処や治療などについて治療方針を相談してみましょう。

歯科医師によっても方針は異なると思いますので、複数の歯科医院に相談してみるのもよいでしょう。
当院でも、セカンドオピニオンの受付も行っておりますのでお気軽にご相談にいらしてください。

 



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