抜歯後に、麻痺やしびれが続く神経麻痺(下歯槽神経麻痺・舌神経麻痺・オトガイ神経麻痺)

   

こんにちは、江戸川区船堀のライフケアデンタルオフィスです。

「親知らずを抜歯後、顎がずっと痺れている」
「親知らずを抜歯してから、口周りが麻痺している」

親知らずの抜歯後、患部周辺に麻痺やシビレを感じるという方は多いのではと思います。

ほとんどの場合は抜歯時に使用した麻酔によるもので、長くても1~2週間程度で改善します。
しかしながら、2週間以上たっても麻痺やシビレが改善しない場合は、神経麻痺がが疑われます。

特に下顎の親知らずを抜歯した後、このような症状が現れた場合は下歯槽神経麻痺(かしそうしんけいまひ)である可能性もありますので注意が必要です。

 

親知らず抜歯後に起こる神経麻痺(しんけいまひ)とは

親知らずを抜歯する際、親知らず近くを通る神経を圧迫したり損傷したりするすると、その神経に対応する部分に麻痺やシビレといった症状が現れます。

下顎には三叉神経の一つである「下顎神経」が通っており、中でも下顎神経の一部である「下歯槽神経」は下の親知らずの近くを通っているため、親知らずを抜歯する際にはこれらの神経を傷つけないよう配慮しなければいけません。

下顎神経には親知らずの近くを通る下歯槽神経のほか、神経の位置によって舌神経、オトガイ神経と名前がついています。

下歯槽神経が損傷した場合は、下顎の前方が麻痺する「下歯槽神経麻痺」
舌神経が損傷した場合は、舌が麻痺したり味覚が失われたりする「舌神経麻痺」
オトガイ神経が損傷した場合は、下唇の周辺が麻痺する「オトガイ神経麻痺」

と呼ばれます。

 

神経麻痺(下歯槽神経麻痺・舌神経麻痺・オトガイ神経麻痺)の主な症状

感覚の異常

下顎神経が影響を受けると、下顎や唇、舌がじんじん、ビリビリ、チクチクするといった感覚異常を感じることがあります。
また、感覚が鈍くなり、触ってもわかりずらく痛みも鈍く感じられることがあります。
唇の動作がうまくいかずに、会話がしづらい、食べ物をうまく食べられないといった問題が生じる場合もあります。

 

痛みの過敏症状

下顎神経が損傷を受けた場合、痛みを感じることがあります。
軽微な刺激でも強い痛みや違和感を感じることがあります。
ビリビリとした神経痛のような痛みを感じることが多いですが、痛みの程度や性質は個人差があります。

 

温度や味覚の異常

下歯槽神経の問題により、熱や冷感に対する感覚が異常になることがあります。
例えば、熱いものや、冷たいものを飲食した際に痛みを感じたりします。
また、舌神経麻痺の場合は味覚が鈍くなり、食べ物の味を感じ取りにくくなります。

 

抜歯後の神経麻痺(下歯槽神経麻痺・舌神経麻痺・オトガイ神経麻痺)を防ぐには

抜歯後の神経麻痺を防ぐには、何よりも事前のしっかりとした診査診断が重要です。

下歯槽神経は下の親知らずの根の近くを通っている太い神経で、親知らずの抜歯時にはこの神経を圧迫したり傷つけたりしないよう注意する必要がありますが、一般的なレントゲン撮影では親知らずの歯がどのように顎の骨に埋まっているのか、神経が親知らずと接触しているかどうかの位置関係を把握することが出来ません。
そのため3次元の立体画像として情報を得ることが出来る歯科用CTによる撮影を行い、親知らずの埋まり方や歯根の形、神経や血管との距離など正確に診断する必要があります。

また歯茎に埋まっている親知らずや横向きに生えている親知らずも、根の先と下顎管が近接しているケースが多いため、抜歯の際にはCT撮影による事前の綿密な診査診断がとても重要です。

 

神経麻痺(下歯槽神経麻痺・舌神経麻痺・オトガイ神経麻痺)の治療法

神経麻痺(下歯槽神経麻痺・舌神経麻痺・オトガイ神経麻痺)の治療方法は、症状の程度や原因によって異なりますが、主に下記のような治療が行われます。

星状神経筋ブロック療法

星状神経筋ブロック療法は、痛みや症状を軽減するために使用される治療法です。
まず、痛みや神経障害の程度や原因をしっかりと把握したうえで局所麻酔薬を使用し、特定の神経や筋肉の活動を一時的に抑制する方法です。
これにより、痛みの緩和や筋肉の緊張が軽減され、血流を良くすることで自然治癒力を高めること効果が期待されます。

 

レーザー治療

レーザー治療は、低出力レーザーを患部に照射しすることで血流の改善と、炎症の軽減をはかる治療法です。
血流の改善や筋肉の緊張緩和など、星状神経筋ブロックと同じような効果が得られますが、星状神経筋ブロック療法よりも比較的容易に試せるため、神経麻痺の症状が出た際の治療の選択肢として優先して行われることが多いです。
レーザー治療は痛みの軽減や神経再生を促進する可能性がありますが、その効果は個人差があります。

 

薬物療法

薬物療法は、痛みや炎症を抑えるために薬物を使用する治療方法です。
ビタミン剤(ビタミンB12)やステロイド剤、ATP製剤(アデノシン三リン酸)などが用いられます。
これにより、痛みを和らげたり、炎症を抑制したりすることができますが、根本的な改善にはなりにくいため他の治療法と併用して使用する場合がほとんどです。

 

物理療法(鍼灸治療など)

物理療法(理学療法)は、痛みや運動機能の改善を支援するために用いられることがあります。
特定の運動やストレッチングを行い、筋力や神経機能の回復を促進することが目指されます。
また、鍼灸治療により特定の経絡にアプローチすることでエネルギーのバランスを整え、痛みの軽減や症状の改善が期待されることもあります。

 



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