実は子供も要注意!睡眠時無呼吸症候群について
こんにちは。東京都江戸川区、船堀の歯医者、ライフケアデンタルオフィスです。
うちの子供、睡眠中に呼吸が止まっているんだけど大丈夫?
睡眠時無呼吸症候群って大人の病気だと思っていたけど、子どもでもなるの?
時折、このようなご質問を親御さんからいただくことがあります。
一時期ニュースでも話題になった「睡眠時無呼吸症候群」ですが、イメージとしては、いびきをよく掻く大人の人がなる病気というイメージを持っていらっしゃる方も多いかもしれません。
ですが、実は睡眠時無呼吸症候群は小児にも発症する病気で、小児の発生率は決して珍しいものではありません。
睡眠時無呼吸症候群になると充分に睡眠をとることができないため、昼間の眠気や集中力の欠如のほか、成長や発育の障害が引き起こされる可能性もあります。
そこで本日は、小児の睡眠時無呼吸症候群について詳しくご紹介していきたいと思います。
睡眠時無呼吸症候群(SAS(サス):Sleep apnea syndrome)とは
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に繰り返し呼吸が止まったり、呼吸が浅くなることで、体の血液中の酸素濃度が低下してしまう病気です。
血液中の酸素濃度が下がると、それを補うために心臓の働きが強まって高血圧になる傾向があり、動脈硬化や心筋梗塞などをおこしやすくなります。
さらに、睡眠不足によるストレスなどで血糖値やコレステロールが高くなり、さまざまな生活習慣病やメタボリック・シンドロームが引き起こされやすくなります。
また、夜間に深い睡眠が取れなくなってしまうため、日中に強い眠気を感じたり、起床時に頭痛や体のだるさを感じたりします。
睡眠時無呼吸症候群と診断される基準は、成人と小児とでは異なっており、成人の場合は、「10秒以上の呼吸停止が、1晩(7時間の睡眠中)に30回以上、または1時間に5回以上」とされていますが、小児の場合は、「無呼吸の時間にかかわらず、2回分の呼吸停止があれば無呼吸と診断できる」とされています。
現状、小児の無呼吸症候群は子どもの1%~3%に見られるとの報告がされていますが、潜在患者も多いといわれているため注意が必要です。
小児の睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群の原因は主に、肥満などによって空気の通り道である気道がふさがれてしまう「閉鎖型」と、呼吸を調整する脳の働きが低下するために発生する「中枢型」の2種類に大別されます。
小児の睡眠時無呼吸症候群の場合、このうち「閉鎖型」が原因となることが多く、扁桃やアデノイドの肥大、アレルギー性鼻炎、蓄膿症などが要因となって引き起こされるケースが多くみられます。
特に、アデノイドは3歳から6歳にかけて、口蓋扁桃は5歳から7歳にかけて生理的に大きくなるため、気道が狭くなっていびきをかくようになりがちです。
この時期に、口呼吸や肥満、歯並びの要因などが加わることで睡眠時無呼吸症候群を引き起こしやすくなります。
子供の睡眠時無呼吸症候群と歯並びの関係
下顎の発達が不十分で下顎が小さい場合や、過蓋咬合(深い噛み合わせ)などの場合はお口の中の容量が小さくなり、睡眠時に舌が後方(喉の方向)に押し出されやすくなります。
その結果、気道が狭くなって睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなります。
また、上顎前突(出っ歯)や開咬の場合は口が閉じにくくなるため、睡眠時も口を開けたまま寝てしまいます。
そうすると重力の作用で下顎が後退しますので、舌が後方(喉の方向)に押し出されやすくなり、同じく睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなります。
子供が睡眠時無呼吸症候群を発症すると、5%~25%に発育障害が起きるという報告がされておりますが、下顎の発育障害が起きるとそれがさらに睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させるという悪循環を引き起こしてしまうため、注意が必要です。
小児の睡眠時無呼吸症候群の症状
小児の睡眠時無呼吸症候群にも大人と同様、さまざまな症状が現れますが、お子さま自身が自覚症状を訴えることがあまりないため、発見が遅れたり、発見されなかったりするケースも多々あります。
保護者の方は、お子さまの睡眠中の様子はもちろん、日中の様子なども含めて注意深く観察することが必要です。
具体的には、下記のような症状がみられる場合は歯科医院などの医療機関に相談してみましょう。
睡眠時/起床時の症状
- いびきを繰り返す
- 呼吸が止まる
- 眠りが浅く、途中でよく目が覚める
- 寝汗、夜尿、頻回な寝返り
- 咳き込み
- 寝相が悪く、よく動く
- 寝起きが悪く、不機嫌
- 口が渇いている
日常生活での症状
- 鼻づまり
- 口呼吸、指しゃぶり
- アデノイド顔貌
- 長時間の昼寝、居眠り
- 食欲の低下
- イライラして怒りっぽい
- 集中力の低下、注意欠如
- 多動性障害(ADHD)様とされる注意散漫
- 学習障害、学力低下、言語発達の不良
- 眠気を払うための異常行動、感情障害
小児の睡眠時無呼吸症候群の治療
子供の睡眠時無呼吸症候群はその原因が多分野にわたるため、その原因ごとに別の医療機関の受診が必要なケースもあります。
子どもの睡眠時無呼吸症候群の原因としてはアデノイド肥大と口蓋扁桃肥大が多いため、これらが原因として考えられるのであれば、耳鼻咽喉科や小児科での治療となりますが、歯並びや口呼吸が原因であれば、歯科、矯正歯科での治療となります。
そのほか症状に応じて内科、循環器科、循環器内科、呼吸器科、呼吸器内科等での治療が必要となるケースもありますので、まずはかかりつけの医師や歯科医師に相談し、適切な医療機関を紹介してもらうことをおススメします。
外科手術(アデノイド切除・口蓋扁桃の摘出)
小児の睡眠時無呼吸症候群の治療として効果が高いと言われているのが外科手術によるアデノイド切除、口蓋扁桃の摘出で、手術による症状の改善率は80~85%とされています。
手術による治療は、アデノイド肥大がピークを迎える4~6歳に行われることが多く、この時期の手術による改善率も高い傾向があり、年齢が上がるにつれて顔面形態の変化や肥満の影響を受けることから改善率は低下する傾向があります。
特に肥満を合併しているときの改善率は25~40%との報告もあるため、肥満の要因の一つとなっている場合は減量をおこなってから手術を行います。
ただし、アデノイドは4~6歳、口蓋扁桃は6~8歳で最大となり、学童期後半に自然に退縮するため、症状が軽症であったり他の要因と重なって症状が発生している場合は、他の要因の治療を優先して外科手術治療に関しては様子を見る場合もあります。
薬物治療(鼻づまりの改善)
アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎(蓄膿症)など、鼻詰まりが原因で睡眠時無呼吸症候群を発症している場合、点鼻薬や抗アレルギー薬などの内服薬による薬物治療で鼻詰まりを改善することで症状を軽減する治療を行います。
鼻詰まりや、鼻詰まりが原因による口呼吸が続くことで睡眠時無呼吸症候群の症状悪化の他にも、虫歯や歯周病、歯列不正やアデノイド顔貌など、さまざまな悪影響を引き起こすリスクがありますのでなるべく早期の段階での治療、改善が大切となります。
矯正治療
顎の発育不良や歯並びが原因となって無呼吸症候群を引き起こしている場合は、矯正治療を行います。
主に「床矯正装置」と呼ばれる装置を使用して下顎の発育成長を促進しうことで症状を改善させます。
床矯正による治療は成長期の子供の時期に行うことが最も効果的で、大人になってからの睡眠時無呼吸症候群の発症予防にもつながります。
当院では、装置による治療に併せて、口を正しく機能させる習慣をつけるための咀嚼訓練や食事訓練、歯並びが悪くなるクセを取り除く訓練なども用いて正しい顎の発育の促進をサポートしております。
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