永久歯がなかなか生えてこない…。萌出遅延の原因と対処法
2024/08/20
こんにちは。 船堀(東京都江戸川区)の歯医者の歯科、ライフケアデンタルオフィスです。
同年代のお子さんは歯の生え変わりが始まっているのに、我が子の歯がなかなか生え変わらない…。
他の歯は生え変わったのに、特定の歯だけなかなか生えてこない…。
そんなお悩み、ご心配をされている親御さんもきっと大きのではないでしょうか?
永久歯がなかなか生えてこない原因はいくつかありますが、本日はその中でも「永久歯の萌出遅延についてご説明させていただきます。
乳歯から永久歯への生え変わりの時期
乳歯から永久歯への生え変わりは、一般的には6歳から12歳くらいまでの時期で行われます。
下顎の前歯から順番に生え変わるのが一般的ですが、歯の生え変わり時期は個人差が大きく、前後2年ぐらいの差があるケースもあります。
たとえ一般的な時期に生え変わらなかったとしても、ほとんどの場合はちゃんと歯は生えてきますので過剰に心配する必要はありません。
ですが、歯の生え変わりの順番に大きく錯誤が生じている場合や、片方の永久歯が生えてきて半年経過しても反対側の乳歯が残っていたり、抜けていても永久歯が生えてこない場合は、何かしらのトラブルが起きている可能性もありますので、その場合はレントゲンを撮るなどして、歯科医師にその原因を探ってもらうようにしましょう。
永久歯が生えてこない原因
永久歯が生えてこない原因はさまざまで、大きくは、
- 歯があるにも関わらずなかなか生えてこない「萌出遅延」
- 歯茎の中に永久歯が埋まったまま生えてこない「埋伏歯」
- 永久歯がもともとない「先天性欠如」
の3つに分けられます。
萌出遅延
平均的な歯の生え変わりの時期よりも大幅に歯が生えるのが遅れることを言います。
永久歯は、一般的に歯根の8割程度が完成する時期に歯茎から出てきますが、歯根が8割以上完成しても出てこれない場合で、かつ生える時期が本来の時期よりも大幅に遅延するものの、いずれは自力で生えてくることが出来ると見込める場合に「萌出遅延」と診断されます。
埋伏歯
埋伏歯は、萌出遅延との見極めが難しいとされていますが、一般的には歯の根がすべて完成しているにも関わらず歯茎から出てこれない場合で、かつ今後も自力で生えてくることが難しいと判断される場合に「埋伏歯」と診断されます。
埋伏歯は、症状がなく、かつ他の歯に悪影響を及ぼしていない場合は放置していてもかまいませんが、他の健康な永久歯の歯根を傷つけたり、成長を妨げたり、歯並びに悪影響を及ぼすといったこともありますので、その場合は適切な処置が必要になります。
永久歯の先天性欠如
永久歯の先天性欠如とは、生まれつき永久歯の数が足りない状態を言います。
通常、永久歯の数は28本、親知らずを含むと最大32本ありますが、何かしらの原因で歯の種となる歯胚が作られなかったために永久歯の数が足りなくなってしまいます。
歯の先天性欠如は形成異常の一つで、2010年11月に行われた日本小児歯科学会の調査によると、約10人に1人という比較的高い確率で先天性欠如が発生していることが明らかになりました。
先天性欠如は将来的にトラブルを抱えやすいですが、早期発見をすることで適切な処置を考えることができます。
萌出遅延の原因
歯茎が厚くて出てこれない
歯茎が厚すぎたり硬かったりすると、永久歯が歯肉を破ることができずに外に出れない場合があります。
その場合には歯茎を切開して、永久歯が生えやすい環境を作ってあげる必要があります。
虫歯や外傷などで乳歯の神経が死んでしまった
乳歯が永久歯が生え変わる時、永久歯は上に生えている乳歯の根を徐々に吸収しながら生えてきますが、虫歯などで乳歯の歯の神経が侵されていたり、治療によって抜いていたりすると、乳歯の根の吸収が遅れてしまい、萌出遅延の原因となります。
また、乳歯の外傷はその後に生えてくる永久歯の形成を妨げてしまうため、永久歯の歯根の形成が遅延し、萌出遅延となるケースもあります。
永久歯が生えてくるスペースが足りない
顎の成長が十分ではなく、生えてくる歯の大きさと顎の大きさにアンバランスが生じた場合、生えてくる永久歯のスペースが確保できずに歯が重なって生えてきたり、萌出遅延となってしまうケースがあります。
乳歯は、歯と歯の間に多少の隙間がある「すきっ歯」の状態がベストですが、隙間がなくビッチリと乳歯が並んでいる場合は、乳歯よりも大きい永久歯が生えてくるスペースが確保できないことが予想できますので、顎の成長を促進してあげる必要があります。
また、乳歯が早くに失われてしまった場合も、隣の乳歯が失われた乳歯のスペースに移動してしまい、後から生えてくる永久歯のスペースが不足してしまうことになるため、歯が寄り合わないように固定(保隙)することが必要です。
歯胚の位置異常
永久歯の歯胚の位置や方向に異常がある場合、他の歯などが障害となり、永久歯が生えてこれずに萌出遅延となる場合があります。
その場合は、矯正治療によって歯の生えるスペースを確保し、正しい方向に歯が生えてくるように誘導する必要があります。
アンキローシス(骨性癒着)によるもの
通常、歯の根と顎の骨の間には「歯根膜」と呼ばれるクッションのようなものがありますが、歯が何らかの損傷を受けると歯根膜が失われ、歯根と歯槽骨がくっついてしまい「アンキローシス(骨性癒着)」と呼ばれる状態となります。
アンキローシスを起こす多くの原因は転倒や事故などの外傷ですが、虫歯が歯根まで進行してしまうことで歯根膜が失われ、アンキローシスを引き起こすケースもあります。
アンキローシスが認められる場合には、脱臼処置により、骨と歯根の癒着を剥がすなどの処置が必要となります。
全身の健康状態(全身疾患)によるもの
多数の歯が萌出遅延する場合は、全身的な原因も疑われます。
下記のような疾患をお持ちの場合、永久歯の萌出遅延が生じることもあります。
- 内分泌障害(甲状腺機能低下症,副甲状腺機能低下症,下垂体機能低下症)
- くる病
- 先天性梅毒
- ダウン症候群などの先天異常
- 鎖骨頭蓋異骨症
- 大理石骨症
- 無汗型外胚葉異形成症
まとめ
永久歯がなかなか生えてこない場合、その原因はさまざまですが、適切な処置をするべきケースで処置をせずに放置した場合、歯並びに大きな影響を及ぼしたり、他の健康な歯に悪影響を与え、健康な歯を抜歯しなくてはいけないケースになることもあります。
処置が遅れて矯正治療が必要になったり、抜歯ケースになってしまうと、機能回復のために要する費用も時間も大幅に増えてしまいます。
永久歯の生え変わりの時期には、虫歯や歯周病などのトラブルも起きやすい時期でもありますので、歯にトラブルが起きていないか、定期的に歯科医院にてチェックをしてもらうようにしましょう。
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