院内感染予防対策について

    2014年読売新聞の記事は今でも記憶に新しいですが、国立感染研究所の研究員による調査で、歯を削る機器を患者ごとに滅菌処理することなく使いまわしている歯科医院が約7割にも及んだのです。

    また最近では、ネットの記事で「新型コロナ感染の懸念 歯科医院の5割が危ない理由」 として器具の使いまわし記事が書かれていました。

    コロナウイルスの影響で世界中が困惑する中、歯科医院での感染予防はどうなっているのか。なぜ、未だに使いまわしが横行しているか。今回は緊急で考えていこうと思います。

    感染予防対策にかかる見えないコスト

    感染予防対策には機器を滅菌する設備、患者ごとに交換するため機器の数、滅菌する時間、滅菌する人件費などのコストがかかります。

    例えば、一日100人患者さんが来る歯科医院であれば、歯を削る道具は最低でも20本程度の用意が必要です。しかしそれは1日数回器具を滅菌した場合で、その場合には人件費がかかります。もし人件費や人手不足などの影響で滅菌作業が出来ない場合にはその倍(40本程度)は必要になります。歯を削る機器は1本5万円~10万円程です。

    常に感染予防対策を行うためには非常にコストがかかります。

    本来あってはならないことですが、経営の圧迫、コスト削減が「機器の使いまわし」の主な理由であると考えられます。

    歯を削る以外の機器にも潜む感染リスク

    2014年以降少しずつではありますが、歯を削る機器の使いまわしは減ってきています。しかし、それ以外の器具、超音波スケーラー(歯石をとる機器)や歯をクリーニングする機器(エアフローなど)については、9割以上の歯科医院で使いまわしが起きていると言われています。

    実は歯を削る機器よりも歯石を取ったり、クリーニングする機器の方が出血の頻度が多いため感染のリスクが高いのです。

    未だに報道されたもの以外については、多くのところで「使いまわし」が起きているようです。 感染予防対策が確実にされている歯科医院かどうかは、歯を削る機器以外が滅菌されているかどうかもポイントになるかもしれません。

    感染予防対策をしている歯科医院の見分け方

    アメリカではキンバリー事件(歯科医院でのHIV院内感染事故)以降、機器の滅菌・消毒は義務付けられ、厳しい罰則が設けられています。しかし、日本ではまだ明確な義務付けはなく罰則等もありません。

    そのため、日本では患者さん自身が病院等での院内感染に対して敏感になる必要があります。

    確実な感染予防対策をしている歯科医院かどうかの見極めのポイントは、受付や歯科衛生士、歯科助手などそこで働いているすべての人が感染予防対策について詳しく、聞いた場合にはすぐに明確に答えられるかどうかです。

    2つ目に、ウイルスや細菌のまき散らしが起こらないような対策として、診療室は個室もしくは診療台ごとに大型のバキューム(歯を削った時などに拡散するウイルスや細菌を吸う機器)があること。

    3つ目に、院内が慌ただしく、診療台や機器、床などが清潔でない歯科医院は要注意です。

    当院では、従来から院内感染予防対策を重要にとらえ、取り組んでおります。

    各エリアの感染予防対策

    受付

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者、ライフケアデンタルクリニック
    • 重症化リスクの高い患者さんを配慮したアポイントの調整
    • アポイントの間に換気、消毒作業を実施
    • 患者さんの接触部位の消毒(手すり、ドアノブ等)

     

    待合室

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者、ライフケアデンタルクリニック
    • ソーシャルディスタンスの実施
    • 個室の待合室の設置

     

    トイレ

    • アルコール消毒液の設置
    • 使用後の清掃・消毒
    • 使用についてのご案内

     

    院内の清掃

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者、ライフケアデンタルクリニック
    • 専門清掃員によるクリーニング(1週間に1度)
    • 床の清掃
    • 土足エリア、診療エリア、トイレの場所ごとに清掃用具を分別

     

    診療室

    船堀(東京都江戸川区)の歯医者、ライフケアデンタルクリニック
    • 診療台専用のタオル、アルコールで消毒
      特に診療台の頭部はアルコールガーゼも用いて汚れをしっかりと拭き取る
    • 診療ごとに診療台、椅子、洗面台を消毒
    • マイクロスコープなど、すべての使用機材の消毒作業
    • 直接、患者さんに触れる器具の滅菌(滅菌できない器具の個別使用、ディスポーザブル化)
    • スタッフの感染防護対策(グローブ・マスク・ゴーグル・フェイスシールド等の使用)

     

    その他

    • 施設内の換気
    • 施設内の適切な湿度管理
    • スタッフの体調管理の徹底

     

    器具の消毒・滅菌の5ステップ

    当院では、検査や治療に使用するすべての器具に対して滅菌作業を行っています。
    滅菌できない器具は、使い捨て(ディスポーザブル)か、その患者さん専用の物を用意して、治療が完了するまで消毒・管理し、使用しています。

    ①薬液消毒

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    血液などのタンパク質を溶解、消毒する

     

    ②水洗

    肉眼で見えるすべての汚れを中性洗剤を使用して水洗する。
    この作業で病原性のある細菌やウイルスの大部分を除去できる。

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    ③機器による洗浄

    ・超音波洗浄
    水洗では取りきれない汚れを、機器を使って除去します。

    ・内部洗浄
    タービン・コントラ(歯を削る器具)などの内部に入った汚れ(血液等)を、専用の機器で除去します。

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    ④乾燥

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    乾燥専用のタオルでふき取った後、エアーガンで残った水分を飛ばし、乾燥させることにより滅菌効果を上げます。

     

    ⑤滅菌

    十分に乾燥させた後、専用の機器を用いて滅菌します。(99.9999%の細菌やウイルスを除去)滅菌する器具の形状によって滅菌器を使い分けます。

    ・スタンダードな滅菌器(Nクラス)
    ピンセットやスケーラー(歯石をとる器具)などを滅菌する機器。
    単純構造な物の滅菌に使用します。

    ・ハイグレードな滅菌器(Sクラス)
    タービン・コントラ(歯を削る器具)などを滅菌する機器。
    複雑構造の物の内部まで滅菌できます。

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