歯ブラシの選び方と交換時期

歯ブラシの選び方と交換時期

あなたが今使っている歯ブラシはいつ交換しましたか?
3ヶ月くらい前、それとも1年くらい前でしょうか?

そして、あなたは歯ブラシをどんな基準で選んでいますか?
固め、やわらかめ、小さめ、毛先の形など。患者さんに尋ねると、「家にあるものを使っている。」「自分なりに選んだが、適切かどうかはわからない。」「電動歯ブラシを使っている。」など様々です。

最近はテレビCMや通販番組などでも様々な歯ブラシが紹介され、それが良いと信じて使っている人も少なくはありません。

そこで今回は、歯ブラシの選び方を考えていきたいと思います。

歯ブラシの目的は、プラークを取り除くこと

そもそも、歯ブラシは何のためにやっているのでしょうか?
「虫歯予防のため?」「歯周病予防のため?」
では、虫歯や歯周病(病気)を予防するにはどうしたらよいのでしょうか?

それは、原因である「プラーク」を取り除くこと以外に方法はありません。
もし、病気を予防するために歯ブラシをしているのであれば、歯ブラシの目的は、「病気の原因であるプラークを取り除くこと。」になるのではないでしょうか?

さて、あなたは普段の歯ブラシで効果的に「プラーク」を取り除くことは出来ていますか?

毛先が細い歯ブラシが良いとは限らない 〜良い歯ブラシの条件とは〜

良い歯ブラシとは、病気の原因である「プラーク」がしっかりと除去出来る、いわばプラークコントロールに適したものです。条件は、毛の太さ、毛先の形、植毛の間隔が適切であり、耐久性、操作性に優れているものを選ばなくてはなりません。

しかし、国内でも数百種類以上もの歯ブラシがあり、その中からプラークコントロールに適した歯ブラシを自分で選ぶのは至難の業かもしれません。

例えば、毛先の細いタイプの歯ブラシは、一見隙間のプラークを取り除けるように思われがちですが、実はそうでもないのです。というのも、プラークは水周りのぬめりのようなもので、先が尖っているブラシだと除去効率が悪く、先がしっかりとしたブラシの方が効率よく落とせるのです。

このように、自分にとって適切な歯ブラシはイメージで選ばずに、まずは歯科医院に行って相談してください。しっかりと「プラーク」が取れていることを、自分でも確認できる歯ブラシを口腔ケアの専門家である歯科衛生士が教えてくれるはずです。

歯ブラシは「毛先が開いたら」ではなく、1ヶ月で交換

「歯ブラシの毛先が開くまでは大丈夫だと思って、2年くらい使っています。」
そんな患者さんがいらっしゃいました。

学校の検診の時に、歯医者さんに、「毛先が開いたら交換してね。」と言われたそうです。

ただし、毛先が開いたかどうかは判断しづらいと思います。ブラシの種類や使い方によっても異なりますし、使い方によっては毛先が開かないこともあるので、判断基準にはなりづらいのです。。

結論を言うと、歯ブラシは1ヶ月に1回交換しましょう。
毎日使うことで、ブラシ部分のナイロンやポリエステルが劣化しコシがなくなり、プラークが取れにくくなってしまうからです。また、1ヶ月の使用で傷が付き、ばい菌が繁殖します。口の中に入れるものなので、せっかくですから効果的に衛生的に使うことをお勧めしています。

患者さんのひとりに92歳のおばあさんがいます。彼女は、健康に気をつけながら一人暮らしをしているのですが、歳を重ねるごとに手も思うように動かせず、歯ブラシがうまくいかないこともあるようでした。そんなある日、彼女の口の中がとってもきれいな日がありました。「今日はとってもきれいに磨けていますね。」とお伝えすると「そうなんです、歯ブラシを新しくしたんです!」と話してくれました。

彼女自身も歯ブラシを新しくしたことで、様子を見ている歯が腫れなくなったり、痛まなくなったのを感じておられました。

先生の言われた通りにしっかり磨いているのに、と思われているあなた。実は使用しているものの状態がよくないと、それほどまでに変化があるのです。

歯ブラシは、リサイクルできる!

当院では、テラサイクル(Terracycle)という歯ブラシのリサイクル活動に参加しています。現在、日本では約800の回収拠点があり、約819,300本分回収されているようです。寄付するには、歯ブラシ2kgから(約200本分)発送できます。

歯ブラシは、ごみ箱に捨ててしまえば、焼却されるか、埋められてしまいます。リサイクルをすることで、歯ブラシは植木鉢などのプラスチックに新たな命をふきこまれるそうです。

例えば、家族4人が月1回交換すると1年間で48本です。学校単位で考えていくと、一クラス30人だとして、年間1,440本になります。みなさんが、協力していくことで大きなインパクトになります。

歯ブラシを月1回交換して、リサイクルする。これをぜひ、新たな習慣にしていきませんか?

(歯科医師:中山俊太郎)

人生を変える歯医者選び<後編>

人生を変える歯医者選び<後編>

前回、「自分の通っている歯医者は大丈夫だ。」「歯医者の治療はこういうものだ。」そんな思い込みで20年間歯医者に通い、大丈夫だと思っていたお口の中を精密に検査したところ、23本の歯に大小の虫歯が見つかり、歯周病も発覚したというエピソードを紹介しました。

彼女は虫歯がどのような病気で、原因は何なのかを理解することなく、自分は虫歯になりやすい体質だと思いこみ、虫歯治療を繰り返していました。
そこで、じっくりとお話を伺い、お口の中の病気の原因や現状を詳しく知ってもらうために、精密検査をしました。
検査結果から、病気の原因を知ることは、自身のお口の中の現状を理解することに繋がり、治療にも、その後のセルフケアにも大きく影響します。

そこで今回は、予防や治療の方法や選択について考えていきたいと思います。

予防プログラムで病気への理解を深める

まず、大切なことは「病気の原因は何なのか?」ということです。病気とは、虫歯、歯周病のことであり、予防するには原因である「プラーク」を徹底的に除去する以外方法はありません。また生活習慣など病気のリスクになる問題の解決も同時に必要となります。
「病気の原因」について解決せず、「病気のリスク」について知ることなく治療をしても、今までと同様に残念な結果になるのは当たり前です。

そこで治療に入る前に、彼女は「予防プログラム」で、お口の中の病気の原因に対する具体的な解決法を知り、生活習慣と病気との関連、治療の必要性について理解を深めました。

プログラムを進めていくと、歯ブラシをした時の歯ぐきからの出血はなくなりました。以前まで歯ブラシの時に血が出ることはいいことだと思っていたので、彼女自身も驚きました。歯周病は、原因である「プラーク」を歯ブラシなどのセルフケアで除去すれば、自分で治すことが出来る病気なのだということに気づきました。
また、詰め物が合っていない場所や、フロスが引っかかる所はケアが出来ず、病気の原因が残ってしまう為、治療が必要だということが明確になりました。

治療後の経過を左右する予防プログラム

予防プログラムを受けたことで、歯周病の改善とともに、自分の歯を守るためのセルフケアの重要性、治療・メンテナンスの必要性について彼女は深く理解することが出来ました。今まで虫歯になってしまっていたのは「歯が弱い」からではないということ、原因について解決することが出来れば予防できるということを知り、自信をもてました。

また、自分ではどうしてもお手入れできない部分のケアやケアしているつもりでもできていない部分の再確認など、定期的に行うメンテナンスも必要であるということがわかり、3か月に1度通うことになりました。

通常メンテナンスの期間は歯医者の都合で決められることが多いですが、当院では自らメンテナンスの期間を患者さんに決めていただいています。歯医者や歯科衛生士に言われたから行くのではなく、目的をもって必要だから行くのです。
一般的には、なぜ予防が必要なのかを深く理解しないまま、「早く治療を終わらせたい」など患者さんの都合により、治療が先行してしまうことが多くあります。結果、自分自身で歯を守るための知識や方法を学ぶことが出来ないまま、病気を繰り返してしまうのです。

病気への理解が、治療の精度を高める

あなたは歯医者で、自分にとって最善最良の治療プランを教えてもらったことはありますか?
通常の歯医者では、問題の起こった部位、もしくは患者さんの審美的な要望によって計画された治療プランの説明があります。そして保険を適応するかしないかの選択を迫られます。
しかし、お口の中は全体で、1つの臓器です。ひとつの歯だけが問題に見えても、見えないところで問題が起きている可能性があります。特に歯周病やかみ合わせについてはお口の中全体で考える必要があります。
適切な選択をするために、お口の中全体を考慮した治療プランを知ることが重要になります。もちろん治療期間や費用についても考えなければなりません。

彼女は検査や予防プログラムによりお口の中への理解が深まり、出来る限り治療を繰り返す事がなく、自分の歯で生涯健康に生活したいという思いから治療プランを選択されました。


治療前の口腔内写真
治療後の口腔内写真
治療後の口腔内写真
治療前のレントゲン写真
治療後のレントゲン写真
治療後のレントゲン写真

<治療後の彼女の感想>
今までは、歯の病気の原因やそのメカニズムを知ることなく歯磨きをしていましたが、予防プログラムを通して深く理解することができました。治療後も、歯の引っ掛かりがなくなったことで、歯の手入れもしやすくなりました。
私の口の中を理解し、相談することが出来るパートナーが見つかりました。

(歯科医師:中山俊太郎)

予防プログラムと治療について詳しく知る

→人生を変える歯医者選び(前編)

人生を変える歯医者選び<前編>

人生を変える歯医者選び<前編>

歯医者選びで人生が変わる? そんな風に思う人は少ないかもしれません。

では、実際はどうでしょうか。患者さんの中には20、30代に虫歯の治療を繰り返し行い、40、50代になって歯を失う方が多くいらっしゃいます。1本歯を失うと他の歯にも問題が起こる可能性も高くなります。また、歯周病が隠れていることも多く、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞など命に関わる病気のリスクも高くなります。
実際に、成人の8割が歯周病であるといったデータもあり、これは多くの日本人が抱える問題でもあります。

当院に来院される患者さんも同様に、「自分の通っている歯医者は大丈夫だ。」「歯医者の治療はこういうものだ。」と思い込み、取り返しのつかない状態になって初めて気付かれることも少なくありません。

そこで今回は、当院で治療が終了した、とある20代の患者さんが小学校から高校生まで同じ歯医者に通い続けて、残念な結果となってしまった本当の話をご紹介します。

「歯ブラシの時に血が出るのですが、大丈夫ですか?」

現在27歳の彼女は、幼稚園の時からたくさんの虫歯があったそうです。
小学校の時に虫歯治療を行った際、1度だけ歯ブラシの指導を受けた記憶があるそうです。
また、中学校の時には約3年間、歯並びが悪かったため、矯正治療を行っています。

矯正治療中、先生に「歯ブラシの時に血が出るのですが、大丈夫ですか?」と質問したところ、「悪い血が出ているから、悪い血ができったら良くなるから心配しなくて大丈夫だよ。」と言われたそうです。それからは歯茎から血が出ても「悪い血が出ているから、血が出るのはいいことだ」と思っていたそうです。おそらく矯正治療で歯ブラシがやりづらいこともあり歯周病になっていたのでしょう。更に、矯正治療中にも虫歯をつくってしまったようです。

高校生になり、ある時、数カ月前に虫歯治療で銀歯を入れたところに突然激痛が走り、歯医者を受診したところ、神経が死んでいると言われたそうです。その時、初めて歯の神経の治療を経験し、とても痛かったこと、神経が取られてしまったショックで、2度とこんな経験はしたくないと思ったそうです。

他にも、治療してもらった前歯が変色し、よくみるとデコボコしている所があったり、またフロスをすると引っ掛かったり、気がつくと色々な所に不具合が表れていましたが、歯の治療というのはこういうものだと思っていたそうです。

彼女はそれまでは定期的に歯医者に通っていましたが、これらの経験から、歯医者に対する信頼や期待が低くなり、足が遠くなったそうです。

23本の歯に虫歯が再発

彼女は24歳の時、仕事中に突然銀歯が取れて、約6年ぶりに違う歯医者に行きました。お口の中全体のレントゲンを撮り、診てもらった上で、先生から「歯はよく磨けているし、ほかの歯も取れた歯も、今回は大丈夫。」とのことだったので、取れた銀歯はそのまま戻してもらったそうです。

それから約2年後、今度は高校生の時に神経を取った歯の違和感を感じ、当院に来院されました。私たちは、症状の話だけでなく、これまでの歯医者での経緯や歯に対する思いなどを詳しくお伺いしました。その上で「本当はどうしたいのか?」「どうありたいのか?」と、お伺いしたところ、
「もう二度と虫歯にはなりたくない。」
「自分の歯で一生美味しく食事をしたい。」
という答えが返ってきました。

そこで、まずは自分のお口の中がどのような状態なのかをしっかりと把握するために、時間をかけて精密検査をしました。
結果、23本の歯に大小の虫歯を発見し、検査によって歯周病も発覚しました。
彼女が元々言っていた、違和感がある部位は根の先に膿がたまっている状態で、銀歯を取るととても大きな虫歯になっていました。別の2年前につけてもらった銀歯の下も大きな虫歯となっており、もしこのまま放置していたらこの歯も神経の治療をすることになっていたかもしれません。
精密検査の結果から、以前の歯医者さんに裏切られた気持ちが強まったそうです。

初診時の口腔内写真
初診時の口腔内写真
初診時のレントゲン写真
初診時のレントゲン写真

意外と行われていない”精密”な検査

このエピソード、実は他人事ではありません。実際に当院においでになった患者さんの多くが同じような状態だからです。数年のブランクはありますが、彼女は20年間歯医者に通っています。それにもかかわらず、なぜこのような悲惨なことが起こるのでしょうか?

まず考えられることは、精密に検査をされていないことです。実際に患者さんに聞いてみても、ほとんどの方が歯周病の検査、かみ合わせの検査を受けたことがない、もしくは覚えていないとお答えになります。彼女も歯周病の検査を受けたのは初めてで、歯ぐきから血が出るのは、歯周病という病気が原因だということをここで知りました。

虫歯、歯周病、かみ合わせについての検査が適切に行われていないために、歯科医師自身も問題を把握しきれていない可能性があります。虫歯の状態を正確に診断するためには精密なレントゲン撮影が必要ですし、また歯周病の検査をしなければ歯周病の状態もわかりません。さらに、かみ合わせの検査は、治療の精度を高めることにつながるのですが、手間がかかることもあり、ほとんどの歯医者で行われないのも現状です。

では、彼女は改善に向けて、どのような治療を受けたのでしょうか。次のコラムでは、実際に彼女が受けた予防プロブラムや治療について、詳しくご紹介したいと思います。

(歯科医師:中山俊太郎)

精密検査について詳しく見る

→人生を変える歯医者選び(後編)

30代の歯医者の選び方「予防」

30代の歯医者の選び方「予防」

あなたは、自分の歯が丈夫だと思っていませんか?
30代は、仕事や日々の生活が忙しく充実してくる年代のため、お口のトラブルがあっても、自覚症状が軽微のため、忙しいなどの理由で放置したり、対処療法的な治療で済ませてしまうことが多くあります。

一方、最近の厚生労働省の調査では20年前に比べて20歳までに虫歯になる人の割合は大幅に減っていますが、それ以降の年代では逆に虫歯は増えています。また、歯周病も同様に増加しているという結果でした。

つまり、気付かない内に、将来、歯を失うリスクを高めてしまっているのです。実際に、患者さんの中には40代で既に歯を失っている方もおりました。まさに、30代でお口の健康を管理し始めるかどうかが、人生を左右するといっても過言ではありません。

そこで、今回は発症や重症化する前に「予防」という観点から、30代からの歯医者の選び方について考えていきたいと思います。

■20歳までは、無意識に虫歯予防できている

では、なぜ20歳までの虫歯を減らすことが出来たのでしょうか?

  • 1つ目の理由は学校健診や、そこでの啓発活動が功を奏したことです。
    昔に比べて、予防の重要性を訴える歯科医師が増えたことによるものだと思います。
  • 2つ目は、啓発活動やメディアの情報により親御さんの虫歯予防に対する姿勢が変わったことです。歯ブラシや食生活の習慣が変化したものと思われます。
  • 3つ目は、フッ素による虫歯予防です。市販されているほぼすべての歯磨き粉にフッ素(※)が配合されているため、無意識のうちに虫歯予防しているのです。

以上の理由から、20歳までの虫歯を減らすことには成功しましたが、問題もあります。それは、20歳以降の年代では虫歯は増えているということです。

※フッ素については注意が必要で、使用すれば必ず予防できるというわけではありません。フッ素の効果や、正しい使い方については今後ブログで紹介します。

■虫歯が減ったことで、予防の意識が希薄に

20代前半から徐々に虫歯が増えていく原因は、お口のケアの習慣化が確立していないことと、親元を離れ食生活などの生活習慣に変化が起こったことによるものと考えられます。

つまり20歳までは、周囲の環境のお陰もあって無意識的に予防が出来ていた故に、お口のケアへの意識が結果的に希薄になってしまったということです。

本来的には、子どもの時にかかる歯医者にて、20歳までにお口の中の病気について正しく知り、お口のケアの習慣化の確立をさせることが重要なのですが、そこまで至っていないのが現状です。

したがって、20代から環境が変わる時に予防を意識できるかどうかが、その後の大きな差に繋がります。

30代の歯医者の選び方

■30代に起こりやすい無自覚の虫歯や歯周病を回避するには

それまで歯医者で正しい予防の方法や知識を提供してもらえなかったからか、あまり虫歯になった経験がないために、「自分は歯が丈夫だ」と思い込んでいる人や、歯周病を知らない人が存在します。

実際に、20代までは、それまでの蓄積のお陰で大きな問題が起きづらいのですが、30代以降の患者さんは、ほぼ皆さん虫歯や歯周病があります。

初期の虫歯はしみる、痛いなどの症状がありません。また歯周病は Silent diseases(沈黙の病気)と言われており、重症化してもなお自覚症状がありません。そのため、気付いたら大きな虫歯・重症化した歯周病になっているケースがとても多くみられます。

無自覚のまま悪化していくのを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?
それは「予防」について真剣に考えている歯医者を選ぶことです。お口の健康の知識が豊富で、予防の習慣を身に付けさせてくれる歯医者です。

一般的に歯医者に行く時は、どうしても「予防」ではなく「治療」がメインになってしまうので、「予防」が大切だと思いながらも「治療」が終わるころには、「予防」についての意識は薄れてしまうものです。

また、とても残念なことに保険制度による制限もあるため、予防の提供を諦めている歯医者も少なくはありません。

それでも諦めずに、将来に向けて一緒に「予防」を取り組んでくれる歯医者を選びましょう。予防医療があまり進んでいなかった時代に生まれた30代以降の人たちにとって、このことが将来に大きく影響するからです。

お口の健康のことで、生涯困ることがないように歯医者選びは慎重に考えたいですね。

(歯科医師:中山俊太郎)

歯科医院の感染予防の実態とは

歯科医院の感染予防の実態とは

2014年読売新聞の記事は今でも記憶に新しいですが、国立感染研究所の研究員による調査で、歯を削る機器を患者ごとに滅菌処理することなく使いまわしている歯科医院が約7割にも及んだのです。

また最近では、ネットの記事で「新型コロナ感染の懸念 歯科医院の5割が危ない理由」 として器具の使いまわし記事が書かれていました。

コロナウイルスの影響で世界中が困惑する中、歯科医院での感染予防はどうなっているのか。なぜ、未だに使いまわしが横行しているか。今回は緊急で考えていこうと思います。

感染予防対策にかかる見えないコスト

感染予防対策には機器を滅菌する設備、患者ごとに交換するため機器の数、滅菌する時間、滅菌する人件費などのコストがかかります。

例えば、一日100人患者さんが来る歯科医院であれば、歯を削る道具は最低でも20本程度の用意が必要です。しかしそれは1日数回器具を滅菌した場合で、その場合には人件費がかかります。もし人件費や人手不足などの影響で滅菌作業が出来ない場合にはその倍(40本程度)は必要になります。歯を削る機器は1本5万円~10万円程です。

常に感染予防対策を行うためには非常にコストがかかります。

本来あってはならないことですが、経営の圧迫、コスト削減が「機器の使いまわし」の主な理由であると考えられます。

歯を削る以外の機器にも潜む感染リスク

2014年以降少しずつではありますが、歯を削る機器の使いまわしは減ってきています。しかし、それ以外の器具、超音波スケーラー(歯石をとる機器)や歯をクリーニングする機器(エアフローなど)については、9割以上の歯科医院で使いまわしが起きていると言われています。

実は歯を削る機器よりも歯石を取ったり、クリーニングする機器の方が出血の頻度が多いため感染のリスクが高いのです。

未だに報道されたもの以外については、多くのところで「使いまわし」が起きているようです。 感染予防対策が確実にされている歯科医院かどうかは、歯を削る機器以外が滅菌されているかどうかもポイントになるかもしれません。

感染予防対策をしている歯科医院の見分け方

アメリカではキンバリー事件(歯科医院でのHIV院内感染事故)以降、機器の滅菌・消毒は義務付けられ、厳しい罰則が設けられています。しかし、日本ではまだ明確な義務付けはなく罰則等もありません。

そのため、日本では患者さん自身が病院等での院内感染に対して敏感になる必要があります。

確実な感染予防対策をしている歯科医院かどうかの見極めのポイントは、受付や歯科衛生士、歯科助手などそこで働いているすべての人が感染予防対策について詳しく、聞いた場合にはすぐに明確に答えられるかどうかです。

2つ目に、ウイルスや細菌のまき散らしが起こらないような対策として、診療室は個室もしくは診療台ごとに大型のバキューム(歯を削った時などに拡散するウイルスや細菌を吸う機器)があること。

3つ目に、院内が慌ただしく、診療台や機器、床などが清潔でない歯科医院は要注意です。

病気を治すために歯科医院に行って、病気になってしまったら本末転倒です。感染予防の視点からも歯科医院選びは慎重に考える必要がありそうですね。

(歯科医師:中山俊太郎)

本当にいい歯科医院の選び方

本当にいい歯科医院の選び方

あなたが歯のことで困った時、あなたは「いい歯医者」を見つけることが大切だと思っていませんか?
あなたにとって「いい歯医者」とは、治療の説明がとても上手でわかりやすい歯医者でしょうか?それとも、腕が良いと評判の歯医者でしょうか?

治療の説明が上手で、腕の良い歯医者はたくさんいます。
しかし、そんな歯医者に通っていても、高額な治療を受けていても、歯の再治療や、歯を失うことが後を絶ちません。いい歯医者を見つけ、頑張って通ったのに再治療を繰り返し、歯を失ってしまったら…

今回は、前回の続編として、「本当のいい歯科医院の選び方」を考えてみたいと思います。

病気には原因がある。

「あなたは、自分の虫歯の原因を知っていますか?」
「あなたは、自分の歯周病の原因を知っていますか?」

あなたが今どこかの歯科医院に通っていて、この質問に明確に答えられないのであれば、あなたの歯の将来がとても心配です。
日本では、歯医者に行くとすぐに治療が始まります。もちろん、痛みなどがある場合には応急処置が必要です。

しかしそれが終えたら、なぜ病気になってしまったのか、「病気の原因」について改めて考え直す必要があるのではないでしょうか?「病気の原因」について解決することなく、治療が行われたならばその治療は100%失敗します。

だから、再治療を繰り返し、歯を失うのです。

あなたと一緒に「原因」を追究してくれる歯医者を選ぼう

・あなたのために、十分に時間をかけてくれる歯医者
・あなたのために、「病気の原因」を教えてくれる歯医者
・あなたのために、「病気の解決策」を教えてくれる歯医者

これが「本当にいい歯医者」の条件ではないでしょうか。

「本当にいい歯医者」であれば、あなたのために十分時間をかけてお話を聞いてくれる、治療してくれる。そして、「病気の原因」についてのお話、それを解決するにはどうしたらよいか、そこに多くの時間をかけてくれるはずです。

当たり前の話だと思いますか?

しかし、それを実践している歯科医院は日本では数えるほどしかありません。

理想的な歯科医師との関係のあり方

歯科医師の仕事は「治療」がメインであることは言うまでもありません。
しかし、「いい歯医者」に「良い治療」をしてもらっても問題は解決しません。治療技術を売る歯科医師、白い歯を売る歯科医師は信用できません。

本当のことを話してくれる、教えてくれる、信頼出来る歯科医師との出会いが必要です。そして忘れてはいけないのが、主に「予防」を担当する歯科衛生士の存在です。彼女たちはあなたのお口の健康を一番近くで守ってくれるパートナーです。

歯科医師との理想的な関係は、「治療」を終えたら2度と「治療」で関わらないことかもしれません。

(歯科医師:中山俊太郎)