おうちで出来るお口の中の健康

おうちで出来るお口の中の健康

歯科医院では、歯を削ったり、歯をクリーニングする時に発生するエアゾルにより患者さん同士や、患者さんから医療従事者へのコロナウイルスへの感染の可能性があると言われています。

とはいえ、痛みが強い場合や生活に支障がある時は、不要不急と言わずに治療を受けることも必要です。その時は、ぜひ院内感染対策を十分に行っている医療機関を選択するようにしてください。

なかなか歯科医院に行くことができない。でも、お口の中の健康には気を使いたい、そんな想いにこたえて、おうちで出来るお口の中のケアについて紹介したいと思います。

虫歯・歯周病の原因は、プラークです。
プラークは、食べかすではなく、菌の塊です。

「プラーク」は歯垢と呼ばれることもありますが、歯垢と聞くと、歯に残った食べかすとイメージされることが多いようです。実は、「プラーク」は誰もが持っている細菌の塊です。そこに含まれる虫歯菌・歯周病菌が繁殖していくことで問題になっていきます。

プラークはマウスウォッシュでは取り除けない。
歯ブラシを見直して、効率的にプラークを取り除きましょう

お風呂の掃除をイメージしてみると、洗剤をかけただけではお風呂の汚れは取れませんよね。それと同じで、マウスウォッシュだけではプラークを取り除くことは出来ません。

チェック① 道具を見直す
あなたの使っている歯ブラシは、古くなっていませんか?
毛先が開いているだけで、プラークの除去力は落ちます。1ヶ月に1回変えるのが目安になります。

チェック② 鏡を見て磨こう
あなたは歯を磨く時に、どこを磨いていますか?
プラークがたまりやすい歯と歯茎の境目、歯と歯の間に歯ブラシが当てられているかを、鏡を見ながら磨くことで、歯ブラシの効果が上がります。

自分のプラークのたまり方を見える化しよう。
赤染めで、歯ブラシのスキルアップを!

赤く染めれば、どこに「プラーク」が残っているかが分かります。そこが、自分の歯ブラシで対応できていない場所になります。自分の歯ブラシのクセを見つけて、しっかりと落とせるようになれれば、虫歯や歯周病の心配は格段に落ちていきます。
しかし、いくらこすっても取れないところはありますし、見えないところにプラークが残っていたりします。そんな時には、歯科医院に行きましょう。

⑤ 虫歯・歯周病の原因の検査
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出典:GC製品カタログ

まずは、おうちで、お口の健康を!
落ち着いたら歯科医院でチェックしてみてください。

歯科医院は家では出来ない予防を提供するところです。
どうしても自分では取れない「プラーク」の取り方のアドバイスや、詰め物が歯と合っていないために「プラーク」が取れなくなっているところの治療など、だだ単に虫歯を治療するのではなく、予防しやすいお口の中にしていきます。

これを機会に、予防について考えてみるのはいかがでしょうか。

歯科医院の感染予防の実態とは

歯科医院の感染予防の実態とは

2014年読売新聞の記事は今でも記憶に新しいですが、国立感染研究所の研究員による調査で、歯を削る機器を患者ごとに滅菌処理することなく使いまわしている歯科医院が約7割にも及んだのです。

また最近では、ネットの記事で「新型コロナ感染の懸念 歯科医院の5割が危ない理由」 として器具の使いまわし記事が書かれていました。

コロナウイルスの影響で世界中が困惑する中、歯科医院での感染予防はどうなっているのか。なぜ、未だに使いまわしが横行しているか。今回は緊急で考えていこうと思います。

感染予防対策にかかる見えないコスト

感染予防対策には機器を滅菌する設備、患者ごとに交換するため機器の数、滅菌する時間、滅菌する人件費などのコストがかかります。

例えば、一日100人患者さんが来る歯科医院であれば、歯を削る道具は最低でも20本程度の用意が必要です。しかしそれは1日数回器具を滅菌した場合で、その場合には人件費がかかります。もし人件費や人手不足などの影響で滅菌作業が出来ない場合にはその倍(40本程度)は必要になります。歯を削る機器は1本5万円~10万円程です。

常に感染予防対策を行うためには非常にコストがかかります。

本来あってはならないことですが、経営の圧迫、コスト削減が「機器の使いまわし」の主な理由であると考えられます。

歯を削る以外の機器にも潜む感染リスク

2014年以降少しずつではありますが、歯を削る機器の使いまわしは減ってきています。しかし、それ以外の器具、超音波スケーラー(歯石をとる機器)や歯をクリーニングする機器(エアフローなど)については、9割以上の歯科医院で使いまわしが起きていると言われています。

実は歯を削る機器よりも歯石を取ったり、クリーニングする機器の方が出血の頻度が多いため感染のリスクが高いのです。

未だに報道されたもの以外については、多くのところで「使いまわし」が起きているようです。 感染予防対策が確実にされている歯科医院かどうかは、歯を削る機器以外が滅菌されているかどうかもポイントになるかもしれません。

感染予防対策をしている歯科医院の見分け方

アメリカではキンバリー事件(歯科医院でのHIV院内感染事故)以降、機器の滅菌・消毒は義務付けられ、厳しい罰則が設けられています。しかし、日本ではまだ明確な義務付けはなく罰則等もありません。

そのため、日本では患者さん自身が病院等での院内感染に対して敏感になる必要があります。

確実な感染予防対策をしている歯科医院かどうかの見極めのポイントは、受付や歯科衛生士、歯科助手などそこで働いているすべての人が感染予防対策について詳しく、聞いた場合にはすぐに明確に答えられるかどうかです。

2つ目に、ウイルスや細菌のまき散らしが起こらないような対策として、診療室は個室もしくは診療台ごとに大型のバキューム(歯を削った時などに拡散するウイルスや細菌を吸う機器)があること。

3つ目に、院内が慌ただしく、診療台や機器、床などが清潔でない歯科医院は要注意です。

病気を治すために歯科医院に行って、病気になってしまったら本末転倒です。感染予防の視点からも歯科医院選びは慎重に考える必要がありそうですね。

(歯科医師:中山俊太郎)

本当にいい歯科医院の選び方

本当にいい歯科医院の選び方

あなたが歯のことで困った時、あなたは「いい歯医者」を見つけることが大切だと思っていませんか?
あなたにとって「いい歯医者」とは、治療の説明がとても上手でわかりやすい歯医者でしょうか?それとも、腕が良いと評判の歯医者でしょうか?

治療の説明が上手で、腕の良いは歯医者たくさんいます。
しかし、そんな歯医者に通っていても、高額な治療を受けていても、歯の再治療や、歯を失うことが後を絶ちません。いい歯医者を見つけ、頑張って通ったのに再治療を繰り返し、歯を失ってしまったら…

今回は、前回の続編として、「本当のいい歯科医院の選び方」を考えてみたいと思います。

病気には原因がある。

「あなたは、自分の虫歯の原因を知っていますか?」
「あなたは、自分の歯周病の原因を知っていますか?」

あなたが今どこかの歯科医院に通っていて、この質問に明確に答えられないのであれば、あなたの歯の将来がとても心配です。
日本では、歯医者に行くとすぐに治療が始まります。もちろん、痛みなどがある場合には応急処置が必要です。

しかしそれが終えたら、なぜ病気になってしまったのか、「病気の原因」について改めて考え直す必要があるのではないでしょうか?「病気の原因」について解決することなく、治療が行われたならばその治療は100%失敗します。

だから、再治療を繰り返し、歯を失うのです。

あなたと一緒に「原因」を追究してくれる歯医者を選ぼう

・あなたのために、十分に時間をかけてくれる歯医者
・あなたのために、「病気の原因」を教えてくれる歯医者
・あなたのために、「病気の解決策」を教えてくれる歯医者

これが「本当にいい歯医者」の条件ではないでしょうか。

「本当にいい歯医者」であれば、あなたのために十分時間をかけてお話を聞いてくれる、治療してくれる。そして、「病気の原因」についてのお話、それを解決するにはどうしたらよいか、そこに多くの時間をかけてくれるはずです。

当たり前の話だと思いますか?

しかし、それを実践している歯科医院は日本では数えるほどしかありません。

理想的な歯科医師との関係のあり方

歯科医師の仕事は「治療」がメインであることは言うまでもありません。
しかし、「いい歯医者」に「良い治療」をしてもらっても問題は解決しません。治療技術を売る歯科医師、白い歯を売る歯科医師は信用できません。

本当のことを話してくれる、教えてくれる、信頼出来る歯科医師との出会いが必要です。そして忘れてはいけないのが、主に「予防」を担当する歯科衛生士の存在です。彼女たちはあなたのお口の健康を一番近くで守ってくれるパートナーです。

歯科医師との理想的な関係は、「治療」を終えたら2度と「治療」で関わらないことかもしれません。

(歯科医師:中山俊太郎)

治療の成功率を意識したことはありますか?

治療の成功率を意識したことはありますか?

よく患者さんに「その治療はどのくらいもちますか?」と質問を受けることがあります。
そもそも、この質問は「治療が成功した時にどのくらいもつのか?」ということであり、患者さんは失敗することは想定していません。私たちは常に失敗を最小限にする努力を惜しみませんが、しかし、医療に絶対的なものはなく残念な結果になる場合もあります。

でも、安心してください。失敗したからと言って歯がなくなってしまうわけではありません。そこで今回は「治療の成功率」について考えていってみたいと思います。

治療の成功率は、アメリカと日本で大きな差が!

興味深いデータがあります。アメリカと日本での根(歯の神経部分)の治療の成功率についてです。
アメリカでは根の治療の成功率は約90%、日本では根の治療の成功率は約50%です。「え!50%!2本に1本は失敗ですか!そんな治療受けたくない!」誰もがそう思うことでしょう。
なぜ、これほどまでの差があるのでしょうか?

治療にかける技術、時間、回数、方法が成功率を左右する

アメリカでは基本、根の治療はそれの専門家が行います。日常的に根の治療のみしか行わないため、とても専門的で成功率も安定しているというわけです。治療回数は1~2回で、時間は奥歯なら約2時間。治療の成功率を上げるために万全な感染対策を行います。精密な治療ですから時間がかかります。また根の病気は感染症ですから、再感染しないように感染対策にも時間とコストをかけているわけです。ちなみに治療費は奥歯で約20~40万円です。
では日本はどうでしょうか?

根の治療は基本、どの歯科医師も行います。もちろん根の治療を専門・得意とする歯科医師もいますが、数は少ないのが現状です。また、儲からない、面倒な治療と認識している歯科医師が多く、根の治療を得意としない歯科医師や経験の少ない歯科医師に治療を任せるケースが非常に多いのが現状です。当然、治療の成功率を上げるために万全な感染対策を行うなどの技術はありません。また、日本の医療保険制度はかけた時間やコスト、治療方法の違いについての報酬はありません。アメリカと同じようにやっていては採算が取れないというわけです。安い材料を使い、最低限の設備・スタッフ構成・治療方法、さらに時間を短縮することで成り立っています。しかし「治療の質」は確保されるのでしょうか。それで治るのでしょうか?アメリカと日本の治療の成功率の差はそこにあるのです!治療費も奥歯の根の治療をすると約1万円とアメリカとでは20~40倍の差があります。

歯は削ると戻らない。治療の成功率は人生を左右する。

今回は根の治療についてお話してきましたが、これは虫歯の治療、歯周病の治療でも同じことが言えるわけです。
治療を成功させるためには、最善な治療方法、技術、時間、コストが不可欠です。定期的に治療が必要になる。定期健診の度に治療を繰り返すことになる。そんな経験はありませんか?歯は一度削ったり、神経を抜いたりしてしまうともとには戻りません。治療を繰り返すことで歯の寿命は短くなります。誰もが「ずっと健康でいたい」「生涯、自分の歯で食事がしたい」と思うのではないでしょうか?

治療の成功率はその後の人生に大きく影響します。
あなたが今通っている歯科医院はそこまで考えて治療してくれていますか?
治療の際には、慎重に考えなければならないですね。

(歯科医師:中山俊太郎)

ありがちな歯科医院の選び方の落とし穴とは

ありがちな歯科医院の選び方の落とし穴とは

あなたは歯科医院を選ぶ時、どの様にして選んでいますか?
「早い・安い・近い」
すぐみてくれる、保険がきく、便利なところにある。
これがよくある歯科医院選びのポイントではないでしょうか?
今回は、この選び方が本当に正しいのか、一緒に考えていってみたいと思います。

「早さ」と「雑さ」は隣り合わせ

仕事が忙しい。平日に休みが取れない。出来れば都合の良い時にすぐに見てくれて、治療もすぐに終わる方がありがたい。そんなふうに思うのではないでしょうか。確かに早いに越したことはありません。

しかし、精密な検査、的確な診断、十分な術前処置、精密な治療、これらの事を考えた時には「早い」は当てはまらない様に思います。たとえ早く治療が済んでもまたトラブルが起こるようでは困るのではないでしょうか。

「安い」は、機材や方法のクオリティに反映される

世界的にも日本の医療保険制度はとても優れていると言われています。確かに、誰もが安価で最低限の医療を受けることが出来るので困ったときには便利です。しかし歯科の場合、使用する材料や方法に制限があり術後にトラブルが多いのも事実です。一度削った歯は元には戻りませんし、治療を繰り返すことで歯が悪くなることもわかっています。

「安い」ということは誰にとってもとても魅力的ではありますが、結果的(将来的)に「安くない」ことになってしまうかもしれません。「健康」はお金では買えません。病気にならない様に「健康に投資する」という考え方が必要かもしれませんね。

「近さ」よりも、しっかりと治療・予防ができるかどうか

仕事場や家の近く、駅前に歯科医院があれば、困った時や通うにはとても便利です。しかし、近くの歯科医院が「あなたが望むこと」を提供してくれるかどうかはわかりません。

例えば、「詰め物が取れたのでとりあえずつけてほしい」という望みであればどこの歯科医院でも叶うかもしれません。ただ、またすぐに詰め物が取れたり、痛くなったり、最悪の場合歯がダメになったりする可能性は十分にあります。

「歯周病を治したい」「虫歯を治したい」こんな望みならどうでしょう。実は歯周病はとても厄介な病気で、治すのがとても難しいと言われています。また、虫歯と言っても簡単な治療からとても難しい治療まで様々です。近くの歯科医院では治らないかもしれません。

さらに「歯周病の予防をしたい」「虫歯の予防をしたい」このような望みでは難易度が上がります。また、基本的に「病気の予防」は日本の医療保険制度に組み込まれていません。

「予防」にはシステムが必要で、歯科医院に予防のシステムがなければ「予防」にはならないのです。

歯科医院を選ぶことは、自分の歯の未来を選ぶこと

「歯科医院は何処に行っても一緒じゃないのですか?」「何処の歯科医院に行っていいかわからない。」という話をよく聞きます。

確かに、歯科治療の技術的な良し悪しは判断しづらく、「歯科医は私のために最善を尽くしてくれるに違いない。」そう信じるしかないこともあるでしょう。しかし、制度による制限などを理由にそうでないこともあるのが現実です。

もし、無意識に「早い・安い・近い」で選んでいたら、一度立ち止まってみてください。歯科医院を選ぶことは、自分の歯の未来を選ぶこと、慎重に選びたいですね。

(歯科医師:中山俊太郎)