意味のない歯医者の定期検診

意味のない歯医者の定期検診

最近、定期検診や、スケーリング(歯石除去)を希望される患者さんが増えている様に思います。それは、お口の中の健康をとても大切に考える人が増えているということです。

しかし、他の歯医者で何年も定期検診に通っていたのに、多くの虫歯や歯周病が存在し、治療したにも関わらず、セルフケアしづらいお口の中になってしまった患者さんが多くいらっしゃいます。

何故でしょうか?

せっかく歯医者に通っているのだから、絶対虫歯にはなりたくないですよね。
そこで今回は、お口の中の健康を維持するための「意味のある通院」とはどのようなものなのか、一緒に考えていきたいと思います。

自覚症状はないが、歯や歯ぐきに問題が起こっている

定期検診を希望される患者さんの多くは、お口の中に「痛み」「不快感」など問題を感じてはいません。ですから、歯医者で検診してもらい、「お口の中のお掃除」をしてもらえば、なんとなく安心なのかもしれません。

しかし、本当に「お口の中のお掃除」だけで大丈夫でしょうか?

☑ 1本1本の歯の虫歯の状態を定期的にレントゲンで確認してもらっていますか?
☑ 歯周病の検査は半年に1回してもらっているでしょうか?
☑ セルフケアの状態を客観的に評価してもらい、適切なアドバイスをもらっていますか?
☑ 生活習慣や食生活についても評価、アドバイスをもらっていますか?

虫歯や歯周病は生活習慣病であり、普段のお口のセルフケアや生活習慣、食生活が大きく影響します。定期検診による「お口の中のお掃除」をするだけでは、防ぐことの出来ない病気なのです。

ではどのように考えれば、虫歯や歯周病を防ぐことができるのでしょうか?

自分のお口の中の状態を知ろう

まずは、虫歯の状態、歯周病の状態など自分の歯や、歯ぐきの状態を知るために検査が必要です。そして、セルフケアのレベルを客観的にみてもらう必要があります。

歯や歯ぐき、セルフケアの状態がわからなければ、解決策を立てることができません。また、病気や治療などによってセルフケアしづらい状態になっている場所を把握することも必要です。

例えば、セルフケアしづらい状態として
☑ フロス(糸ようじ)を入れると引っかかる所はないでしょうか?
☑ どうしても歯ブラシが届かない場所はないでしょうか?
それはもしかすると、虫歯治療の詰め物や被せ物に問題があるかもしれません。

もし、問題があった場合にはセルフケアしやすいように治療が必要です。

「虫歯の治療をしたのだからこんなもんだ」と諦めてはいませんか?
そして、歯医者さんにまかせっきりにはなっていませんか?

しかし、病気を予防するためにはお口の中を知ることが、とても重要なのです。

「定期検診」ではなく「メンテナンス」という考え方

「定期検診」の目的は、虫歯や歯周病の早期発見です。
ただし、むし歯になったら歯を削ることになるので、早期発見では手遅れなのです。

対して、「メンテナンス」の目的は、お口の健康の維持管理です。
虫歯や歯周病の原因について知り、これ以上病気にならないようにするにはどうしたらよいか解決策を考え実行します。

患者さん自身がセルフケアをしっかりと行い、予防の専門家による適切なアドバイスが提供される。これこそが「本当の予防歯科」なのです。せっかく通うなら、「意味のある通院」=「メンテナンス」にしたいですね。

(歯科医師:中山俊太郎)

ありがちな歯科医院の選び方の落とし穴とは

ありがちな歯科医院の選び方の落とし穴とは

あなたは歯科医院を選ぶ時、どの様にして選んでいますか?
「早い・安い・近い」
すぐみてくれる、保険がきく、便利なところにある。
これがよくある歯科医院選びのポイントではないでしょうか?
今回は、この選び方が本当に正しいのか、一緒に考えていってみたいと思います。

「早さ」と「雑さ」は隣り合わせ

仕事が忙しい。平日に休みが取れない。出来れば都合の良い時にすぐに見てくれて、治療もすぐに終わる方がありがたい。そんなふうに思うのではないでしょうか。確かに早いに越したことはありません。

しかし、精密な検査、的確な診断、十分な術前処置、精密な治療、これらの事を考えた時には「早い」は当てはまらない様に思います。たとえ早く治療が済んでもまたトラブルが起こるようでは困るのではないでしょうか。

「安い」は、機材や方法のクオリティに反映される

世界的にも日本の医療保険制度はとても優れていると言われています。確かに、誰もが安価で最低限の医療を受けることが出来るので困ったときには便利です。しかし歯科の場合、使用する材料や方法に制限があり術後にトラブルが多いのも事実です。一度削った歯は元には戻りませんし、治療を繰り返すことで歯が悪くなることもわかっています。

「安い」ということは誰にとってもとても魅力的ではありますが、結果的(将来的)に「安くない」ことになってしまうかもしれません。「健康」はお金では買えません。病気にならない様に「健康に投資する」という考え方が必要かもしれませんね。

「近さ」よりも、しっかりと治療・予防ができるかどうか

仕事場や家の近く、駅前に歯科医院があれば、困った時や通うにはとても便利です。しかし、近くの歯科医院が「あなたが望むこと」を提供してくれるかどうかはわかりません。

例えば、「詰め物が取れたのでとりあえずつけてほしい」という望みであればどこの歯科医院でも叶うかもしれません。ただ、またすぐに詰め物が取れたり、痛くなったり、最悪の場合歯がダメになったりする可能性は十分にあります。

「歯周病を治したい」「虫歯を治したい」こんな望みならどうでしょう。実は歯周病はとても厄介な病気で、治すのがとても難しいと言われています。また、虫歯と言っても簡単な治療からとても難しい治療まで様々です。近くの歯科医院では治らないかもしれません。

さらに「歯周病の予防をしたい」「虫歯の予防をしたい」このような望みでは難易度が上がります。また、基本的に「病気の予防」は日本の医療保険制度に組み込まれていません。

「予防」にはシステムが必要で、歯科医院に予防のシステムがなければ「予防」にはならないのです。

歯科医院を選ぶことは、自分の歯の未来を選ぶこと

「歯科医院は何処に行っても一緒じゃないのですか?」「何処の歯科医院に行っていいかわからない。」という話をよく聞きます。

確かに、歯科治療の技術的な良し悪しは判断しづらく、「歯科医は私のために最善を尽くしてくれるに違いない。」そう信じるしかないこともあるでしょう。しかし、制度による制限などを理由にそうでないこともあるのが現実です。

もし、無意識に「早い・安い・近い」で選んでいたら、一度立ち止まってみてください。歯科医院を選ぶことは、自分の歯の未来を選ぶこと、慎重に選びたいですね。

(歯科医師:中山俊太郎)