人生を変える歯医者選び<後編>

人生を変える歯医者選び<後編>

前回、「自分の通っている歯医者は大丈夫だ。」「歯医者の治療はこういうものだ。」そんな思い込みで20年間歯医者に通い、大丈夫だと思っていたお口の中を精密に検査したところ、23本の歯に大小の虫歯が見つかり、歯周病も発覚したというエピソードを紹介しました。

彼女は虫歯がどのような病気で、原因は何なのかを理解することなく、自分は虫歯になりやすい体質だと思いこみ、虫歯治療を繰り返していました。
そこで、じっくりとお話を伺い、お口の中の病気の原因や現状を詳しく知ってもらうために、精密検査をしました。
検査結果から、病気の原因を知ることは、自身のお口の中の現状を理解することに繋がり、治療にも、その後のセルフケアにも大きく影響します。

そこで今回は、予防や治療の方法や選択について考えていきたいと思います。

予防プログラムで病気への理解を深める

まず、大切なことは「病気の原因は何なのか?」ということです。病気とは、虫歯、歯周病のことであり、予防するには原因である「プラーク」を徹底的に除去する以外方法はありません。また生活習慣など病気のリスクになる問題の解決も同時に必要となります。
「病気の原因」について解決せず、「病気のリスク」について知ることなく治療をしても、今までと同様に残念な結果になるのは当たり前です。

そこで治療に入る前に、彼女は「予防プログラム」で、お口の中の病気の原因に対する具体的な解決法を知り、生活習慣と病気との関連、治療の必要性について理解を深めました。

プログラムを進めていくと、歯ブラシをした時の歯ぐきからの出血はなくなりました。以前まで歯ブラシの時に血が出ることはいいことだと思っていたので、彼女自身も驚きました。歯周病は、原因である「プラーク」を歯ブラシなどのセルフケアで除去すれば、自分で治すことが出来る病気なのだということに気づきました。
また、詰め物が合っていない場所や、フロスが引っかかる所はケアが出来ず、病気の原因が残ってしまう為、治療が必要だということが明確になりました。

治療後の経過を左右する予防プログラム

予防プログラムを受けたことで、歯周病の改善とともに、自分の歯を守るためのセルフケアの重要性、治療・メンテナンスの必要性について彼女は深く理解することが出来ました。今まで虫歯になってしまっていたのは「歯が弱い」からではないということ、原因について解決することが出来れば予防できるということを知り、自信をもてました。

また、自分ではどうしてもお手入れできない部分のケアやケアしているつもりでもできていない部分の再確認など、定期的に行うメンテナンスも必要であるということがわかり、3か月に1度通うことになりました。

通常メンテナンスの期間は歯医者の都合で決められることが多いですが、当院では自らメンテナンスの期間を患者さんに決めていただいています。歯医者や歯科衛生士に言われたから行くのではなく、目的をもって必要だから行くのです。
一般的には、なぜ予防が必要なのかを深く理解しないまま、「早く治療を終わらせたい」など患者さんの都合により、治療が先行してしまうことが多くあります。結果、自分自身で歯を守るための知識や方法を学ぶことが出来ないまま、病気を繰り返してしまうのです。

病気への理解が、治療の精度を高める

あなたは歯医者で、自分にとって最善最良の治療プランを教えてもらったことはありますか?
通常の歯医者では、問題の起こった部位、もしくは患者さんの審美的な要望によって計画された治療プランの説明があります。そして保険を適応するかしないかの選択を迫られます。
しかし、お口の中は全体で、1つの臓器です。ひとつの歯だけが問題に見えても、見えないところで問題が起きている可能性があります。特に歯周病やかみ合わせについてはお口の中全体で考える必要があります。
適切な選択をするために、お口の中全体を考慮した治療プランを知ることが重要になります。もちろん治療期間や費用についても考えなければなりません。

彼女は検査や予防プログラムによりお口の中への理解が深まり、出来る限り治療を繰り返す事がなく、自分の歯で生涯健康に生活したいという思いから治療プランを選択されました。


治療前の口腔内写真
治療後の口腔内写真
治療後の口腔内写真
治療前のレントゲン写真
治療後のレントゲン写真
治療後のレントゲン写真

<治療後の彼女の感想>
今までは、歯の病気の原因やそのメカニズムを知ることなく歯磨きをしていましたが、予防プログラムを通して深く理解することができました。治療後も、歯の引っ掛かりがなくなったことで、歯の手入れもしやすくなりました。
私の口の中を理解し、相談することが出来るパートナーが見つかりました。

(歯科医師:中山俊太郎)

予防プログラムと治療について詳しく知る

→人生を変える歯医者選び(前編)

人生を変える歯医者選び<前編>

人生を変える歯医者選び<前編>

歯医者選びで人生が変わる? そんな風に思う人は少ないかもしれません。

では、実際はどうでしょうか。患者さんの中には20、30代に虫歯の治療を繰り返し行い、40、50代になって歯を失う方が多くいらっしゃいます。1本歯を失うと他の歯にも問題が起こる可能性も高くなります。また、歯周病が隠れていることも多く、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞など命に関わる病気のリスクも高くなります。
実際に、成人の8割が歯周病であるといったデータもあり、これは多くの日本人が抱える問題でもあります。

当院に来院される患者さんも同様に、「自分の通っている歯医者は大丈夫だ。」「歯医者の治療はこういうものだ。」と思い込み、取り返しのつかない状態になって初めて気付かれることも少なくありません。

そこで今回は、当院で治療が終了した、とある20代の患者さんが小学校から高校生まで同じ歯医者に通い続けて、残念な結果となってしまった本当の話をご紹介します。

「歯ブラシの時に血が出るのですが、大丈夫ですか?」

現在27歳の彼女は、幼稚園の時からたくさんの虫歯があったそうです。
小学校の時に虫歯治療を行った際、1度だけ歯ブラシの指導を受けた記憶があるそうです。
また、中学校の時には約3年間、歯並びが悪かったため、矯正治療を行っています。

矯正治療中、先生に「歯ブラシの時に血が出るのですが、大丈夫ですか?」と質問したところ、「悪い血が出ているから、悪い血ができったら良くなるから心配しなくて大丈夫だよ。」と言われたそうです。それからは歯茎から血が出ても「悪い血が出ているから、血が出るのはいいことだ」と思っていたそうです。おそらく矯正治療で歯ブラシがやりづらいこともあり歯周病になっていたのでしょう。更に、矯正治療中にも虫歯をつくってしまったようです。

高校生になり、ある時、数カ月前に虫歯治療で銀歯を入れたところに突然激痛が走り、歯医者を受診したところ、神経が死んでいると言われたそうです。その時、初めて歯の神経の治療を経験し、とても痛かったこと、神経が取られてしまったショックで、2度とこんな経験はしたくないと思ったそうです。

他にも、治療してもらった前歯が変色し、よくみるとデコボコしている所があったり、またフロスをすると引っ掛かったり、気がつくと色々な所に不具合が表れていましたが、歯の治療というのはこういうものだと思っていたそうです。

彼女はそれまでは定期的に歯医者に通っていましたが、これらの経験から、歯医者に対する信頼や期待が低くなり、足が遠くなったそうです。

23本の歯に虫歯が再発

彼女は24歳の時、仕事中に突然銀歯が取れて、約6年ぶりに違う歯医者に行きました。お口の中全体のレントゲンを撮り、診てもらった上で、先生から「歯はよく磨けているし、ほかの歯も取れた歯も、今回は大丈夫。」とのことだったので、取れた銀歯はそのまま戻してもらったそうです。

それから約2年後、今度は高校生の時に神経を取った歯の違和感を感じ、当院に来院されました。私たちは、症状の話だけでなく、これまでの歯医者での経緯や歯に対する思いなどを詳しくお伺いしました。その上で「本当はどうしたいのか?」「どうありたいのか?」と、お伺いしたところ、
「もう二度と虫歯にはなりたくない。」
「自分の歯で一生美味しく食事をしたい。」
という答えが返ってきました。

そこで、まずは自分のお口の中がどのような状態なのかをしっかりと把握するために、時間をかけて精密検査をしました。
結果、23本の歯に大小の虫歯を発見し、検査によって歯周病も発覚しました。
彼女が元々言っていた、違和感がある部位は根の先に膿がたまっている状態で、銀歯を取るととても大きな虫歯になっていました。別の2年前につけてもらった銀歯の下も大きな虫歯となっており、もしこのまま放置していたらこの歯も神経の治療をすることになっていたかもしれません。
精密検査の結果から、以前の歯医者さんに裏切られた気持ちが強まったそうです。

初診時の口腔内写真
初診時の口腔内写真
初診時のレントゲン写真
初診時のレントゲン写真

意外と行われていない”精密”な検査

このエピソード、実は他人事ではありません。実際に当院においでになった患者さんの多くが同じような状態だからです。数年のブランクはありますが、彼女は20年間歯医者に通っています。それにもかかわらず、なぜこのような悲惨なことが起こるのでしょうか?

まず考えられることは、精密に検査をされていないことです。実際に患者さんに聞いてみても、ほとんどの方が歯周病の検査、かみ合わせの検査を受けたことがない、もしくは覚えていないとお答えになります。彼女も歯周病の検査を受けたのは初めてで、歯ぐきから血が出るのは、歯周病という病気が原因だということをここで知りました。

虫歯、歯周病、かみ合わせについての検査が適切に行われていないために、歯科医師自身も問題を把握しきれていない可能性があります。虫歯の状態を正確に診断するためには精密なレントゲン撮影が必要ですし、また歯周病の検査をしなければ歯周病の状態もわかりません。さらに、かみ合わせの検査は、治療の精度を高めることにつながるのですが、手間がかかることもあり、ほとんどの歯医者で行われないのも現状です。

では、彼女は改善に向けて、どのような治療を受けたのでしょうか。次のコラムでは、実際に彼女が受けた予防プロブラムや治療について、詳しくご紹介したいと思います。

(歯科医師:中山俊太郎)

精密検査について詳しく見る

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メンテナンスの本当の意味とは?

メンテナンスの本当の意味とは?

「定期健診をお願いします。」「クリーニングしてください。」と希望する患者さんが、最近、多くなっています。

あなたは歯医者に行って、定期健診を受け、クリーニングしてもらえれば、歯は悪くならないと思ってはいませんか?

それは大きな間違いです。

そもそも、あなたが定期的に歯医者に行く目的は何でしょうか?
「きれいにしてもらうため?」「安心のため?」「虫歯の予防のため?」
どうせ行くなら意味のあるものにしたいですよね。

今回は定期的に歯医者に行く「本当の目的」について考えていきたいと思います。

定期検診、クリーニングでは予防できない!!

まずは言葉の意味を整理しましょう。
「定期健診」は病気や不具合を見つけることです。
「クリーニング」は歯石やプラーク(歯垢)、茶渋などを取り、お口の中をきれいにすること。

一般的な歯医者の定期健診では、虫歯・歯周病・咬み合わせのチェック、必要に応じてレントゲン検査を行い、問題があれば治療、なければクリーニングをしてもらい終了します。

本当にこれだけで大丈夫でしょうか?

そもそも定期的に歯医者に通っているのに、虫歯で治療になるのはおかしいと思いませんか?そうでなくても、その時だけのクリーニングでよい状態が続くのでしょうか?

実は、クリーニングをしてもらっても、きれいなのはその日だけです。次の日にはまた虫歯、歯周病になる状態に戻ります。結局、虫歯、歯周病を予防したいのなら、定期検診やクリーニングだけでは不十分であるということです。

虫歯、歯周病を予防するにはセルフケアが重要

虫歯、歯周病の「原因」は「プラーク」(ばい菌の塊)です。
普段の歯ブラシで「プラーク」をとることが出来ていないから虫歯、歯周病になります。それ以外の「原因」はありません。

そして、虫歯、歯周病を予防するためには「プラーク」を取る方法が一番効果的です。「私は一生懸命、歯ブラシしているのになぜ?」と思う方もいるかもしれません。

それは今の歯ブラシではしっかりと「プラーク」が落とせていないのです。虫歯、歯周病の予防をするには、毎日「プラーク」を歯ブラシで落とすことが必要です。落とせなければ虫歯、歯周病になります。

毎日、「プラーク」を落とせていないのに、定期検診に行った時だけ「プラーク」を落としても予防は出来ないのです。重要なのは、セルフケアのレベルを上げ、習慣化し、専門家のアドバイスを受けることです。 そして、必要なのは「メンテナンス」という考え方なのです。

メンテナンスが予防の鍵

「メンテナンス」とは言葉の通り、現状の維持管理をすることです。
定期検診、クリーニングとは目的が違います。

「メンテナンス」では歯科衛生士が、生活習慣、健康状態をはじめ、あなたのプラークコントロールの習慣の変化などを専門的に確認し、アドバイスを行います。また、セルフケアではどうしても落としきれなかったプラークを取ります。

メンテナンスの段階では病気はないか、回復に向かっている状態で、患者さんのセルフケアのレベルも高いので患者さん自身がすでに出来る範囲で予防しています。メンテナンスではそれを歯科衛生士がサポートするのです。これが「本当の予防歯科」です。

専門家によるアドバイスが適切に行われず、患者さん自身がセルフケアという責任を全うできない状態で行われる定期検診、クリーニングとは全く違います。

どうせ行くのなら意味のある通院にしませんか?
予防が目的なら、定期検診、クリーニングはあまり意味がありません。
必要なのは「定期的なメンテナンス」です。

(歯科医師:中山俊太郎)