【情熱対談】子ども時代から始まるむし歯格差

【情熱対談】子ども時代から始まるむし歯格差

色んなお子さんのお母さんをお見かけしますが、おそらく多くの親が持つ悩みは同じではないでしょうか。

  • 絶対にむし歯にさせたくない
  • 歯並びが気になる


このような想いを持つ親御さんがお子さんを連れて「予防したい」「フッ素を塗ってほしい」と、来院されることが多いですね。

子どもの歯科の健康について、親としてどう考えていったらいいかをご紹介したいと思います。

■ Life Care Dental Office
歯科医師 中山 和嘉子(W)

■ 東京虎ノ門 グローバルスクエア歯科
副院長 小児歯科専門医 丘 久恵(O)

〜依然埋まらないお口の中の健康格差〜

W: 私がもともと大学病院で働いていた時は、開業医から最後の砦として紹介されて来るお子さん、つまり深刻なむし歯の方ばかりだったんです。現在、開業医として働いていると、依然むし歯の子はいます。しかし、昔に比べると、お口の中が全体的にむし歯になっているお子さんは減ってきているとは思います。

歯科医師として務めてきたこの12年で実感したことを挙げると、やはり「健康格差」がすごいなと感じます。多くのお母さんは定期的にお子さんを連れて来るのですが、お口の中の状況が悪いお子さんと、そうじゃないお子さんとの差がとても激しいのです。

「絶対むし歯にさせない」という健康意識を持っているお母さんの子がいる一方で、放置されている子もいます。そういった患者さんは、来院も来たり、来なかったりと、飛び込みで受診され、お口の中もプラークだらけで、むし歯は1個か2個、受診ごとに増えているのです。1回の定期検診の後に1、2回治療してそれっきり、そしてまたトラブルが起きて飛び込み受診になる、といったことが繰り返されています。

O: たしかに、前から4番目、5番目の臼歯といわれる大きめの歯がむし歯になりやすく、しかも、その後もよく噛むために、そのむし歯のところから欠けやすくなっていることが多いですね。

W: そうなんです。特に噛む力の強い子は、一度治療しても、詰め物がとれやすくトラブルにつながりやすい。

O: そうならないためにも、親がしっかりと監督しながら、子どもが自分でしっかりと歯ブラシを使ってセルフケアを出来るようになっている必要があります。

セルフケアについて〜小学校3年生を目安に〜

O: セルフケアは、なかなか浸透していませんね。「あ、うちは3ヶ月に一回診てもらってるから大丈夫。」「フッ素を塗ってもらっているから大丈夫。」という具合に、歯医者に行くことで満足している親御さんは多いです。

ゴールとしては、子ども自身がセルフケアを出来るようになることです。目安としては、大体小学校3年生ごろだと、一般的に言われています。もちろん個人的な技術に差もありますが、そこを目安に自分でケアできるように指導しています。ですから、それまでは「絶対に仕上げ磨きをしてあげてください。」と伝えています。

W: 子どもがセルフケアを出来るようになったかどうかを、どのように判断しますか?

O: 例えば、当院では、来院する際に、直前に自分で歯磨きをして来ていただきます。来院したら、まず染め出しをして、自分でできているかをチェックします。自分で出来ているとこちらが判断したら「仕上げ磨きは卒業です。」と伝えます。

W: どうしたらセルフケアが、上手になりますか?

O: まず基本的なことですが、幼児の頃から、お子さんが洗面所に立って、自分で歯ブラシを行う習慣づくりから始めてください。自分で磨いたのを見届けてから、必ず仕上げ磨きをしてください。

小学生になったら、自分でお口の中を意識しながら磨く「セルフケアの自立」を目指してみてください。ずっとお母さんが当たり前のように仕上げ磨きし続けると、お子さんはなかなかセルフケアできるようにはなりません。サポートしながら、自立をしていくよう促してみてください。

親としての責任〜親も健康意識を持ってほしい〜

O: お子さんのむし歯。こればかりは本当に親の責任です。子どもひとりで乗り越えられるものではありません。

W: 親の健康意識を変えないといけませんよね。親の意識が変わらないと、子どもは変わりません。ですから、親御さんもお子さんと一緒に来院して、専門家の指導を受けてほしいのです。中学生頃になると、お子さんの意思が確立してきますから、その時期から親御さんがお口の中の健康について教育するのは難しいでしょう。やはり幼少期からの教育が大事なのです。

O: それと、親のお口の中とお子さんのお口の中は似てきます。親が磨けていなければ、お子さんもむし歯のことが多いです。ですから、お子さんをむし歯にさせたくなかったら、親御さんもご自身の歯について見直してみてはいかがでしょうか。

W: 結局、お子さんだけを診てもダメで、親御さん自身が自分のお口の中のことを理解していて、どうしたら予防できるかということを分かっていないと、お子さんのむし歯はなくならないということですね。

O: その通りです。まずは、親御さん自身が正しいセルフケアを身につけることが大事だと思います。

■東京虎ノ門グローバルスクエア歯科

虎ノ門駅直結ビルの2階のオフィス街にあり、アクセス良好なクリニックです。

歯周病認定医をはじめ、全国の歯科医の約1%しかいない小児歯科専門医も在籍し、予知性の高い歯科治療および、インプラント治療など、包括的歯科診療を患者さま一人一人にご提供致します。

特に健康な口腔内を持続するための環境づくりに力を入れ、治療計画に基づいた「着実で丁寧な治療」を心がけております。

東京虎ノ門グローバルスクエア歯科 ウェブサイト
意味のない歯医者の定期検診

意味のない歯医者の定期検診

最近、定期検診や、スケーリング(歯石除去)を希望される患者さんが増えている様に思います。それは、お口の中の健康をとても大切に考える人が増えているということです。

しかし、他の歯医者で何年も定期検診に通っていたのに、多くの虫歯や歯周病が存在し、治療したにも関わらず、セルフケアしづらいお口の中になってしまった患者さんが多くいらっしゃいます。

何故でしょうか?

せっかく歯医者に通っているのだから、絶対虫歯にはなりたくないですよね。
そこで今回は、お口の中の健康を維持するための「意味のある通院」とはどのようなものなのか、一緒に考えていきたいと思います。

自覚症状はないが、歯や歯ぐきに問題が起こっている

定期検診を希望される患者さんの多くは、お口の中に「痛み」「不快感」など問題を感じてはいません。ですから、歯医者で検診してもらい、「お口の中のお掃除」をしてもらえば、なんとなく安心なのかもしれません。

しかし、本当に「お口の中のお掃除」だけで大丈夫でしょうか?

☑ 1本1本の歯の虫歯の状態を定期的にレントゲンで確認してもらっていますか?
☑ 歯周病の検査は半年に1回してもらっているでしょうか?
☑ セルフケアの状態を客観的に評価してもらい、適切なアドバイスをもらっていますか?
☑ 生活習慣や食生活についても評価、アドバイスをもらっていますか?

虫歯や歯周病は生活習慣病であり、普段のお口のセルフケアや生活習慣、食生活が大きく影響します。定期検診による「お口の中のお掃除」をするだけでは、防ぐことの出来ない病気なのです。

ではどのように考えれば、虫歯や歯周病を防ぐことができるのでしょうか?

自分のお口の中の状態を知ろう

まずは、虫歯の状態、歯周病の状態など自分の歯や、歯ぐきの状態を知るために検査が必要です。そして、セルフケアのレベルを客観的にみてもらう必要があります。

歯や歯ぐき、セルフケアの状態がわからなければ、解決策を立てることができません。また、病気や治療などによってセルフケアしづらい状態になっている場所を把握することも必要です。

例えば、セルフケアしづらい状態として
☑ フロス(糸ようじ)を入れると引っかかる所はないでしょうか?
☑ どうしても歯ブラシが届かない場所はないでしょうか?
それはもしかすると、虫歯治療の詰め物や被せ物に問題があるかもしれません。

もし、問題があった場合にはセルフケアしやすいように治療が必要です。

「虫歯の治療をしたのだからこんなもんだ」と諦めてはいませんか?
そして、歯医者さんにまかせっきりにはなっていませんか?

しかし、病気を予防するためにはお口の中を知ることが、とても重要なのです。

「定期検診」ではなく「メンテナンス」という考え方

「定期検診」の目的は、虫歯や歯周病の早期発見です。
ただし、むし歯になったら歯を削ることになるので、早期発見では手遅れなのです。

対して、「メンテナンス」の目的は、お口の健康の維持管理です。
虫歯や歯周病の原因について知り、これ以上病気にならないようにするにはどうしたらよいか解決策を考え実行します。

患者さん自身がセルフケアをしっかりと行い、予防の専門家による適切なアドバイスが提供される。これこそが「本当の予防歯科」なのです。せっかく通うなら、「意味のある通院」=「メンテナンス」にしたいですね。

(歯科医師:中山俊太郎)

メンテナンスの本当の意味とは?

メンテナンスの本当の意味とは?

「定期健診をお願いします。」「クリーニングしてください。」と希望する患者さんが、最近、多くなっています。

あなたは歯医者に行って、定期健診を受け、クリーニングしてもらえれば、歯は悪くならないと思ってはいませんか?

それは大きな間違いです。

そもそも、あなたが定期的に歯医者に行く目的は何でしょうか?
「きれいにしてもらうため?」「安心のため?」「虫歯の予防のため?」
どうせ行くなら意味のあるものにしたいですよね。

今回は定期的に歯医者に行く「本当の目的」について考えていきたいと思います。

定期検診、クリーニングでは予防できない!!

まずは言葉の意味を整理しましょう。
「定期健診」は病気や不具合を見つけることです。
「クリーニング」は歯石やプラーク(歯垢)、茶渋などを取り、お口の中をきれいにすること。

一般的な歯医者の定期健診では、虫歯・歯周病・咬み合わせのチェック、必要に応じてレントゲン検査を行い、問題があれば治療、なければクリーニングをしてもらい終了します。

本当にこれだけで大丈夫でしょうか?

そもそも定期的に歯医者に通っているのに、虫歯で治療になるのはおかしいと思いませんか?そうでなくても、その時だけのクリーニングでよい状態が続くのでしょうか?

実は、クリーニングをしてもらっても、きれいなのはその日だけです。次の日にはまた虫歯、歯周病になる状態に戻ります。結局、虫歯、歯周病を予防したいのなら、定期検診やクリーニングだけでは不十分であるということです。

虫歯、歯周病を予防するにはセルフケアが重要

虫歯、歯周病の「原因」は「プラーク」(ばい菌の塊)です。
普段の歯ブラシで「プラーク」をとることが出来ていないから虫歯、歯周病になります。それ以外の「原因」はありません。

そして、虫歯、歯周病を予防するためには「プラーク」を取る方法が一番効果的です。「私は一生懸命、歯ブラシしているのになぜ?」と思う方もいるかもしれません。

それは今の歯ブラシではしっかりと「プラーク」が落とせていないのです。虫歯、歯周病の予防をするには、毎日「プラーク」を歯ブラシで落とすことが必要です。落とせなければ虫歯、歯周病になります。

毎日、「プラーク」を落とせていないのに、定期検診に行った時だけ「プラーク」を落としても予防は出来ないのです。重要なのは、セルフケアのレベルを上げ、習慣化し、専門家のアドバイスを受けることです。 そして、必要なのは「メンテナンス」という考え方なのです。

メンテナンスが予防の鍵

「メンテナンス」とは言葉の通り、現状の維持管理をすることです。
定期検診、クリーニングとは目的が違います。

「メンテナンス」では歯科衛生士が、生活習慣、健康状態をはじめ、あなたのプラークコントロールの習慣の変化などを専門的に確認し、アドバイスを行います。また、セルフケアではどうしても落としきれなかったプラークを取ります。

メンテナンスの段階では病気はないか、回復に向かっている状態で、患者さんのセルフケアのレベルも高いので患者さん自身がすでに出来る範囲で予防しています。メンテナンスではそれを歯科衛生士がサポートするのです。これが「本当の予防歯科」です。

専門家によるアドバイスが適切に行われず、患者さん自身がセルフケアという責任を全うできない状態で行われる定期検診、クリーニングとは全く違います。

どうせ行くのなら意味のある通院にしませんか?
予防が目的なら、定期検診、クリーニングはあまり意味がありません。
必要なのは「定期的なメンテナンス」です。

(歯科医師:中山俊太郎)