失敗しない歯医者の選び方

失敗しない歯医者の選び方

あなたは今まで何件の歯医者に通いましたか?

そして以前の歯医者には、なぜ通わなくなったのでしょうか?

仕事場の変更や引っ越しによって通いづらくなった。治療が痛い。腕が悪いと感じた。説明が不十分で納得がいかない。環境が衛生的でない。治療費が高い。など様々な理由があると思います。

しかし、失敗しない条件で最も重要なことは「そこに通っていれば、お口の中の健康が長く維持される」ということではないでしょうか。定期的に通っているのに数年ごとに治療を繰り返しているのであれば、通う意味はなくなってしまいます。

そこで、今回はどうすれば歯医者選びで失敗しないのか考えていきたいと思います。

まず、自分の歯をどうしたいのかを考える


例えば、歯の詰め物が取れた場合を考えてみます。

ただ取れただけであれば、再度つけてもらえば大丈夫と考えるのが一般的かもしれません。しかし、実際には何か問題(原因)があるから取れるわけです。


さて、ここであなたなら、どちらを選びますか?

  1. その問題について考えることなくつける。最悪、歯がダメになってもよいと考える。
  2. その問題を解決し、二度と同じことを繰り返したくない。出来れば歯のトラブルはなくしたいと考える。


こう聞かれたら、②を選択する人が多いのではないでしょうか。

虫歯になることや歯のトラブルは、ある程度は仕方がないことで、根本的な解決は難しいとあきらめている人も多いかもしれません。ただし、問題(原因)は何なのか、そしてその問題を解決するために必要なことを実践すれば、難しい事ではなくなります。

適切な治療の費用・回数(時間)がある

あなたが②を選んだとします。その場合、費用や時間について初めから決めることは出来ません。何故ならば、根本的な解決には、しっかり原因を見極める検査を行い、それに合わせた最適な治療が必要になるからです。


一方で、治療費はなるべく抑えたい。忙しいので1回の治療で済ませて欲しい。そう考えている人も少なくはないでしょう。しかし、治療費やかける時間に対する価値観や思いは、問題をしっかりと把握することで変わる可能性があります。

例えば、初めは「歯を抜いてもらいたい。」と思っていたが、時間をかけて治療していくことで歯を抜かなくて済む場合や、白い歯にしたいのでお金が掛かると思っていたが、お金を掛けずに十分満足することが出来る場合もあります。

このように、初めはお金や時間をかけるつもりはなかったが、現状を見直した結果、気持ちが変わる場合もあります。「歯が痛くて眠れない。」「歯が痛くて食事することが出来ない。」など緊急の時でない限り、費用や時間を考える前に現状をしっかりと見直してみませんか。

現状を把握できて、相談できる歯科医院を選ぼう

まず、現状を知るためにしっかりとした検査を行ってくれる歯科医院を選びましょう。

現状を知るには ①虫歯の状態 ②歯周病の状態 ③咬み合わせ 大きくこの3つを検査していく必要があります。そして、全ての歯や歯ぐきの状態を精密に検査しなければ、適切に治療することは出来ません。

検査後、必要な治療の計画について説明がありますが、良い歯科医院の場合は、自分の歯をどうしたいかという話を聞いてくれた上で、選択肢を示してくれるでしょう。一方的に説明して終わりではない、歯科医院を選びましょう。

歯の治療での失敗は、精密な検査をしないことと、十分に相談出来てないことによる患者さんと歯科医院の考え方のミスマッチによって起こることが多いです。

歯医者選びで失敗しない

正直、私たちでも迷ってしまうぐらい、歯医者選びはとても難しいのが現状です。

例えば、米国ではGP(General Practice / 総合歯科)が最初に診ることが多く、そこで検査・診断してから、適切な専門の歯科医院を紹介されます。歯医者選びを患者さんに任せきりにせず、現状をしっかりと把握してから、適切な治療へと進む行程を大事にしているからでしょう。

歯をキレイにしたいから審美歯科、インプラントにしたいからインプラント専門歯科といった選択をしてしまうと、当たり前ですが選択の余地はありません。結果、歯を白くするために歯を削らなければよかった、インプラントにしなければ良かったと後悔したという話もよく聞きます。

まずは、現状を把握できて、相談できる歯科医院を選びましょう。

歯医者選びで失敗しないことは、そこから始まります。

(歯科医師:中山俊太郎)

歯医者を変える時の選び方

歯医者を変える時の選び方

どこの歯医者に行くのが良いのか?

「いい歯医者」を探しているが、どう選んだら良いか分からない、ただ現状で大きな問題も起こっていないので、そのまま通っているという話を良く聞きます。

一方で、歯医者を転々として、やっと自分にあった歯医者を見つけることが出来ましたと言う患者さんも当院におりました。いざ、歯医者を変えようと思っても、色々と考えて、重い腰が動かないという感じなのではないでしょうか。

そこで今回は、今通っている歯医者を変える時にどのようなことに注意すればよいのかを、考えていこうと思います。

歯医者を変えるべきタイミングとは

「治療しても治らず、理由もわからない」「治療がとても痛い、苦痛である」「治療費や説明が納得できない」「衛生的でない」などを感じられている方は、すぐにでも変えるべきです。なぜなら、治療方針、治療技術、歯医者のシステムに問題があり、適切な医療が提供されていない可能性が高いと考えられるからです。

また、治療中にも関わらずなかなか予約が取れない場合も、歯医者を変えることを検討した方が良い可能性があります。例えば、かかりつけの歯医者で、「痛い」「咬めない」「治療中」など緊急性の高い状態にもかかわらず、理由もなく予約がとりづらい場合です。

もし「いい歯医者」であれば、既存の患者さんをとても大切に考え、新規の患者さんよりも優先的に診てくれるはずです。

この様に、「いい歯医者」では新規の予約が取りにくいことも特徴です。

長くつきあえる歯医者を選ぼう

まず、歯医者に行く目的を、短期的な治療や不具合の改善から、中長期的なお口の中の健康を維持するため、と捉え直す必要があります。

なぜなら、歯が痛くなった理由、虫歯になった理由などを考えることなく、治療をしても、根本的な解決につながらず、また同じことを繰り返すことになります。結果として、歯の寿命が短くなってしまうことになるのは、多くの研究でも明らかです。

予防的な考え方を持ち、あなたのお口の中の健康に寄り添ってくれる歯医者さんを選ぶべきだと考えます。

安易に歯を削ったりしない歯医者が「いい歯医者」

極論的に書きましたが、特に非可逆的な治療(歯を削ったり、神経を抜くなど)の際に気をつけたいことです。

「虫歯治療のため、歯を削らなければならないと言われた。」
「歯の神経を抜かなければならないと言われた。」
「歯を抜かなければならないと言われた。」

こんな時、先生に聞いてみてほしいのです。

「削ったり、抜いたりせずに治療は出来ないのかどうか?」
「削ったり、抜いたりした場合、治療の選択肢にはどのようなものがあるか?」

「その選択によって治療した歯の将来はどうなるのか?」

「いい歯医者」であれば、これらの質問に対して、丁寧にわかりやすく時間をかけて説明してくれるはずです。そして納得のいかないまま、いきなり歯を削ることはないでしょう。

歯を抜かずに治せる根管治療

歯を抜かない治療について詳しくはコチラ

予防について先生に聞いてみよう

予防については、ストレートに聞いてみることをオススメします。

「ここでは、虫歯にならないようできますか?」
「ここでは、虫歯にならないようにどのような治療や予防の方針を持っていますか?」

もし「本当の予防歯科」であれば、「あなたの協力が必要ですが、虫歯にならないようにすることは出来ます。」と答えてくれます。そして、虫歯の原因を解決するための具体的なケアやメンテナンスについての案内があるでしょう。

お口の健康はとても重要ですので、「歯医者は治療さえしてくれれば良い」と思わず、ぜひ納得のいく歯医者を探してみてください。

もし、今の歯医者に対して遠慮がある場合は、他の歯医者の意見(セカンドオピニオン)も聞いてみたいですと言うのも1つの手かもしれませんね。

(歯科医師:中山俊太郎)

人生を変える歯医者選び<後編>

人生を変える歯医者選び<後編>

前回、「自分の通っている歯医者は大丈夫だ。」「歯医者の治療はこういうものだ。」そんな思い込みで20年間歯医者に通い、大丈夫だと思っていたお口の中を精密に検査したところ、23本の歯に大小の虫歯が見つかり、歯周病も発覚したというエピソードを紹介しました。

彼女は虫歯がどのような病気で、原因は何なのかを理解することなく、自分は虫歯になりやすい体質だと思いこみ、虫歯治療を繰り返していました。
そこで、じっくりとお話を伺い、お口の中の病気の原因や現状を詳しく知ってもらうために、精密検査をしました。
検査結果から、病気の原因を知ることは、自身のお口の中の現状を理解することに繋がり、治療にも、その後のセルフケアにも大きく影響します。

そこで今回は、予防や治療の方法や選択について考えていきたいと思います。

予防プログラムで病気への理解を深める

まず、大切なことは「病気の原因は何なのか?」ということです。病気とは、虫歯、歯周病のことであり、予防するには原因である「プラーク」を徹底的に除去する以外方法はありません。また生活習慣など病気のリスクになる問題の解決も同時に必要となります。
「病気の原因」について解決せず、「病気のリスク」について知ることなく治療をしても、今までと同様に残念な結果になるのは当たり前です。

そこで治療に入る前に、彼女は「予防プログラム」で、お口の中の病気の原因に対する具体的な解決法を知り、生活習慣と病気との関連、治療の必要性について理解を深めました。

プログラムを進めていくと、歯ブラシをした時の歯ぐきからの出血はなくなりました。以前まで歯ブラシの時に血が出ることはいいことだと思っていたので、彼女自身も驚きました。歯周病は、原因である「プラーク」を歯ブラシなどのセルフケアで除去すれば、自分で治すことが出来る病気なのだということに気づきました。
また、詰め物が合っていない場所や、フロスが引っかかる所はケアが出来ず、病気の原因が残ってしまう為、治療が必要だということが明確になりました。

治療後の経過を左右する予防プログラム

予防プログラムを受けたことで、歯周病の改善とともに、自分の歯を守るためのセルフケアの重要性、治療・メンテナンスの必要性について彼女は深く理解することが出来ました。今まで虫歯になってしまっていたのは「歯が弱い」からではないということ、原因について解決することが出来れば予防できるということを知り、自信をもてました。

また、自分ではどうしてもお手入れできない部分のケアやケアしているつもりでもできていない部分の再確認など、定期的に行うメンテナンスも必要であるということがわかり、3か月に1度通うことになりました。

通常メンテナンスの期間は歯医者の都合で決められることが多いですが、当院では自らメンテナンスの期間を患者さんに決めていただいています。歯医者や歯科衛生士に言われたから行くのではなく、目的をもって必要だから行くのです。
一般的には、なぜ予防が必要なのかを深く理解しないまま、「早く治療を終わらせたい」など患者さんの都合により、治療が先行してしまうことが多くあります。結果、自分自身で歯を守るための知識や方法を学ぶことが出来ないまま、病気を繰り返してしまうのです。

病気への理解が、治療の精度を高める

あなたは歯医者で、自分にとって最善最良の治療プランを教えてもらったことはありますか?
通常の歯医者では、問題の起こった部位、もしくは患者さんの審美的な要望によって計画された治療プランの説明があります。そして保険を適応するかしないかの選択を迫られます。
しかし、お口の中は全体で、1つの臓器です。ひとつの歯だけが問題に見えても、見えないところで問題が起きている可能性があります。特に歯周病やかみ合わせについてはお口の中全体で考える必要があります。
適切な選択をするために、お口の中全体を考慮した治療プランを知ることが重要になります。もちろん治療期間や費用についても考えなければなりません。

彼女は検査や予防プログラムによりお口の中への理解が深まり、出来る限り治療を繰り返す事がなく、自分の歯で生涯健康に生活したいという思いから治療プランを選択されました。


治療前の口腔内写真
治療後の口腔内写真
治療後の口腔内写真
治療前のレントゲン写真
治療後のレントゲン写真
治療後のレントゲン写真

<治療後の彼女の感想>
今までは、歯の病気の原因やそのメカニズムを知ることなく歯磨きをしていましたが、予防プログラムを通して深く理解することができました。治療後も、歯の引っ掛かりがなくなったことで、歯の手入れもしやすくなりました。
私の口の中を理解し、相談することが出来るパートナーが見つかりました。

(歯科医師:中山俊太郎)

予防プログラムと治療について詳しく知る

→人生を変える歯医者選び(前編)

人生を変える歯医者選び<前編>

人生を変える歯医者選び<前編>

歯医者選びで人生が変わる? そんな風に思う人は少ないかもしれません。

では、実際はどうでしょうか。患者さんの中には20、30代に虫歯の治療を繰り返し行い、40、50代になって歯を失う方が多くいらっしゃいます。1本歯を失うと他の歯にも問題が起こる可能性も高くなります。また、歯周病が隠れていることも多く、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞など命に関わる病気のリスクも高くなります。
実際に、成人の8割が歯周病であるといったデータもあり、これは多くの日本人が抱える問題でもあります。

当院に来院される患者さんも同様に、「自分の通っている歯医者は大丈夫だ。」「歯医者の治療はこういうものだ。」と思い込み、取り返しのつかない状態になって初めて気付かれることも少なくありません。

そこで今回は、当院で治療が終了した、とある20代の患者さんが小学校から高校生まで同じ歯医者に通い続けて、残念な結果となってしまった本当の話をご紹介します。

「歯ブラシの時に血が出るのですが、大丈夫ですか?」

現在27歳の彼女は、幼稚園の時からたくさんの虫歯があったそうです。
小学校の時に虫歯治療を行った際、1度だけ歯ブラシの指導を受けた記憶があるそうです。
また、中学校の時には約3年間、歯並びが悪かったため、矯正治療を行っています。

矯正治療中、先生に「歯ブラシの時に血が出るのですが、大丈夫ですか?」と質問したところ、「悪い血が出ているから、悪い血ができったら良くなるから心配しなくて大丈夫だよ。」と言われたそうです。それからは歯茎から血が出ても「悪い血が出ているから、血が出るのはいいことだ」と思っていたそうです。おそらく矯正治療で歯ブラシがやりづらいこともあり歯周病になっていたのでしょう。更に、矯正治療中にも虫歯をつくってしまったようです。

高校生になり、ある時、数カ月前に虫歯治療で銀歯を入れたところに突然激痛が走り、歯医者を受診したところ、神経が死んでいると言われたそうです。その時、初めて歯の神経の治療を経験し、とても痛かったこと、神経が取られてしまったショックで、2度とこんな経験はしたくないと思ったそうです。

他にも、治療してもらった前歯が変色し、よくみるとデコボコしている所があったり、またフロスをすると引っ掛かったり、気がつくと色々な所に不具合が表れていましたが、歯の治療というのはこういうものだと思っていたそうです。

彼女はそれまでは定期的に歯医者に通っていましたが、これらの経験から、歯医者に対する信頼や期待が低くなり、足が遠くなったそうです。

23本の歯に虫歯が再発

彼女は24歳の時、仕事中に突然銀歯が取れて、約6年ぶりに違う歯医者に行きました。お口の中全体のレントゲンを撮り、診てもらった上で、先生から「歯はよく磨けているし、ほかの歯も取れた歯も、今回は大丈夫。」とのことだったので、取れた銀歯はそのまま戻してもらったそうです。

それから約2年後、今度は高校生の時に神経を取った歯の違和感を感じ、当院に来院されました。私たちは、症状の話だけでなく、これまでの歯医者での経緯や歯に対する思いなどを詳しくお伺いしました。その上で「本当はどうしたいのか?」「どうありたいのか?」と、お伺いしたところ、
「もう二度と虫歯にはなりたくない。」
「自分の歯で一生美味しく食事をしたい。」
という答えが返ってきました。

そこで、まずは自分のお口の中がどのような状態なのかをしっかりと把握するために、時間をかけて精密検査をしました。
結果、23本の歯に大小の虫歯を発見し、検査によって歯周病も発覚しました。
彼女が元々言っていた、違和感がある部位は根の先に膿がたまっている状態で、銀歯を取るととても大きな虫歯になっていました。別の2年前につけてもらった銀歯の下も大きな虫歯となっており、もしこのまま放置していたらこの歯も神経の治療をすることになっていたかもしれません。
精密検査の結果から、以前の歯医者さんに裏切られた気持ちが強まったそうです。

初診時の口腔内写真
初診時の口腔内写真
初診時のレントゲン写真
初診時のレントゲン写真

意外と行われていない”精密”な検査

このエピソード、実は他人事ではありません。実際に当院においでになった患者さんの多くが同じような状態だからです。数年のブランクはありますが、彼女は20年間歯医者に通っています。それにもかかわらず、なぜこのような悲惨なことが起こるのでしょうか?

まず考えられることは、精密に検査をされていないことです。実際に患者さんに聞いてみても、ほとんどの方が歯周病の検査、かみ合わせの検査を受けたことがない、もしくは覚えていないとお答えになります。彼女も歯周病の検査を受けたのは初めてで、歯ぐきから血が出るのは、歯周病という病気が原因だということをここで知りました。

虫歯、歯周病、かみ合わせについての検査が適切に行われていないために、歯科医師自身も問題を把握しきれていない可能性があります。虫歯の状態を正確に診断するためには精密なレントゲン撮影が必要ですし、また歯周病の検査をしなければ歯周病の状態もわかりません。さらに、かみ合わせの検査は、治療の精度を高めることにつながるのですが、手間がかかることもあり、ほとんどの歯医者で行われないのも現状です。

では、彼女は改善に向けて、どのような治療を受けたのでしょうか。次のコラムでは、実際に彼女が受けた予防プロブラムや治療について、詳しくご紹介したいと思います。

(歯科医師:中山俊太郎)

精密検査について詳しく見る

→人生を変える歯医者選び(後編)

30代の歯医者の選び方「予防」

30代の歯医者の選び方「予防」

あなたは、自分の歯が丈夫だと思っていませんか?
30代は、仕事や日々の生活が忙しく充実してくる年代のため、お口のトラブルがあっても、自覚症状が軽微のため、忙しいなどの理由で放置したり、対処療法的な治療で済ませてしまうことが多くあります。

一方、最近の厚生労働省の調査では20年前に比べて20歳までに虫歯になる人の割合は大幅に減っていますが、それ以降の年代では逆に虫歯は増えています。また、歯周病も同様に増加しているという結果でした。

つまり、気付かない内に、将来、歯を失うリスクを高めてしまっているのです。実際に、患者さんの中には40代で既に歯を失っている方もおりました。まさに、30代でお口の健康を管理し始めるかどうかが、人生を左右するといっても過言ではありません。

そこで、今回は発症や重症化する前に「予防」という観点から、30代からの歯医者の選び方について考えていきたいと思います。

■20歳までは、無意識に虫歯予防できている

では、なぜ20歳までの虫歯を減らすことが出来たのでしょうか?

  • 1つ目の理由は学校健診や、そこでの啓発活動が功を奏したことです。
    昔に比べて、予防の重要性を訴える歯科医師が増えたことによるものだと思います。
  • 2つ目は、啓発活動やメディアの情報により親御さんの虫歯予防に対する姿勢が変わったことです。歯ブラシや食生活の習慣が変化したものと思われます。
  • 3つ目は、フッ素による虫歯予防です。市販されているほぼすべての歯磨き粉にフッ素(※)が配合されているため、無意識のうちに虫歯予防しているのです。

以上の理由から、20歳までの虫歯を減らすことには成功しましたが、問題もあります。それは、20歳以降の年代では虫歯は増えているということです。

※フッ素については注意が必要で、使用すれば必ず予防できるというわけではありません。フッ素の効果や、正しい使い方については今後ブログで紹介します。

■虫歯が減ったことで、予防の意識が希薄に

20代前半から徐々に虫歯が増えていく原因は、お口のケアの習慣化が確立していないことと、親元を離れ食生活などの生活習慣に変化が起こったことによるものと考えられます。

つまり20歳までは、周囲の環境のお陰もあって無意識的に予防が出来ていた故に、お口のケアへの意識が結果的に希薄になってしまったということです。

本来的には、子どもの時にかかる歯医者にて、20歳までにお口の中の病気について正しく知り、お口のケアの習慣化の確立をさせることが重要なのですが、そこまで至っていないのが現状です。

したがって、20代から環境が変わる時に予防を意識できるかどうかが、その後の大きな差に繋がります。

30代の歯医者の選び方

■30代に起こりやすい無自覚の虫歯や歯周病を回避するには

それまで歯医者で正しい予防の方法や知識を提供してもらえなかったからか、あまり虫歯になった経験がないために、「自分は歯が丈夫だ」と思い込んでいる人や、歯周病を知らない人が存在します。

実際に、20代までは、それまでの蓄積のお陰で大きな問題が起きづらいのですが、30代以降の患者さんは、ほぼ皆さん虫歯や歯周病があります。

初期の虫歯はしみる、痛いなどの症状がありません。また歯周病は Silent diseases(沈黙の病気)と言われており、重症化してもなお自覚症状がありません。そのため、気付いたら大きな虫歯・重症化した歯周病になっているケースがとても多くみられます。

無自覚のまま悪化していくのを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?
それは「予防」について真剣に考えている歯医者を選ぶことです。お口の健康の知識が豊富で、予防の習慣を身に付けさせてくれる歯医者です。

一般的に歯医者に行く時は、どうしても「予防」ではなく「治療」がメインになってしまうので、「予防」が大切だと思いながらも「治療」が終わるころには、「予防」についての意識は薄れてしまうものです。

また、とても残念なことに保険制度による制限もあるため、予防の提供を諦めている歯医者も少なくはありません。

それでも諦めずに、将来に向けて一緒に「予防」を取り組んでくれる歯医者を選びましょう。予防医療があまり進んでいなかった時代に生まれた30代以降の人たちにとって、このことが将来に大きく影響するからです。

お口の健康のことで、生涯困ることがないように歯医者選びは慎重に考えたいですね。

(歯科医師:中山俊太郎)

本当にいい歯科医院の選び方

本当にいい歯科医院の選び方

あなたが歯のことで困った時、あなたは「いい歯医者」を見つけることが大切だと思っていませんか?
あなたにとって「いい歯医者」とは、治療の説明がとても上手でわかりやすい歯医者でしょうか?それとも、腕が良いと評判の歯医者でしょうか?

治療の説明が上手で、腕の良い歯医者はたくさんいます。
しかし、そんな歯医者に通っていても、高額な治療を受けていても、歯の再治療や、歯を失うことが後を絶ちません。いい歯医者を見つけ、頑張って通ったのに再治療を繰り返し、歯を失ってしまったら…

今回は、前回の続編として、「本当のいい歯科医院の選び方」を考えてみたいと思います。

病気には原因がある。

「あなたは、自分の虫歯の原因を知っていますか?」
「あなたは、自分の歯周病の原因を知っていますか?」

あなたが今どこかの歯科医院に通っていて、この質問に明確に答えられないのであれば、あなたの歯の将来がとても心配です。
日本では、歯医者に行くとすぐに治療が始まります。もちろん、痛みなどがある場合には応急処置が必要です。

しかしそれが終えたら、なぜ病気になってしまったのか、「病気の原因」について改めて考え直す必要があるのではないでしょうか?「病気の原因」について解決することなく、治療が行われたならばその治療は100%失敗します。

だから、再治療を繰り返し、歯を失うのです。

あなたと一緒に「原因」を追究してくれる歯医者を選ぼう

・あなたのために、十分に時間をかけてくれる歯医者
・あなたのために、「病気の原因」を教えてくれる歯医者
・あなたのために、「病気の解決策」を教えてくれる歯医者

これが「本当にいい歯医者」の条件ではないでしょうか。

「本当にいい歯医者」であれば、あなたのために十分時間をかけてお話を聞いてくれる、治療してくれる。そして、「病気の原因」についてのお話、それを解決するにはどうしたらよいか、そこに多くの時間をかけてくれるはずです。

当たり前の話だと思いますか?

しかし、それを実践している歯科医院は日本では数えるほどしかありません。

理想的な歯科医師との関係のあり方

歯科医師の仕事は「治療」がメインであることは言うまでもありません。
しかし、「いい歯医者」に「良い治療」をしてもらっても問題は解決しません。治療技術を売る歯科医師、白い歯を売る歯科医師は信用できません。

本当のことを話してくれる、教えてくれる、信頼出来る歯科医師との出会いが必要です。そして忘れてはいけないのが、主に「予防」を担当する歯科衛生士の存在です。彼女たちはあなたのお口の健康を一番近くで守ってくれるパートナーです。

歯科医師との理想的な関係は、「治療」を終えたら2度と「治療」で関わらないことかもしれません。

(歯科医師:中山俊太郎)