治療の成功率を意識したことはありますか?

治療の成功率を意識したことはありますか?

よく患者さんに「その治療はどのくらいもちますか?」と質問を受けることがあります。
そもそも、この質問は「治療が成功した時にどのくらいもつのか?」ということであり、患者さんは失敗することは想定していません。私たちは常に失敗を最小限にする努力を惜しみませんが、しかし、医療に絶対的なものはなく残念な結果になる場合もあります。

でも、安心してください。失敗したからと言って歯がなくなってしまうわけではありません。そこで今回は「治療の成功率」について考えていってみたいと思います。

治療の成功率は、アメリカと日本で大きな差が!

興味深いデータがあります。アメリカと日本での根(歯の神経部分)の治療の成功率についてです。
アメリカでは根の治療の成功率は約90%、日本では根の治療の成功率は約50%です。「え!50%!2本に1本は失敗ですか!そんな治療受けたくない!」誰もがそう思うことでしょう。
なぜ、これほどまでの差があるのでしょうか?

治療にかける技術、時間、回数、方法が成功率を左右する

アメリカでは基本、根の治療はそれの専門家が行います。日常的に根の治療のみしか行わないため、とても専門的で成功率も安定しているというわけです。治療回数は1~2回で、時間は奥歯なら約2時間。治療の成功率を上げるために万全な感染対策を行います。精密な治療ですから時間がかかります。また根の病気は感染症ですから、再感染しないように感染対策にも時間とコストをかけているわけです。ちなみに治療費は奥歯で約20~40万円です。
では日本はどうでしょうか?

根の治療は基本、どの歯科医師も行います。もちろん根の治療を専門・得意とする歯科医師もいますが、数は少ないのが現状です。また、儲からない、面倒な治療と認識している歯科医師が多く、根の治療を得意としない歯科医師や経験の少ない歯科医師に治療を任せるケースが非常に多いのが現状です。当然、治療の成功率を上げるために万全な感染対策を行うなどの技術はありません。また、日本の医療保険制度はかけた時間やコスト、治療方法の違いについての報酬はありません。アメリカと同じようにやっていては採算が取れないというわけです。安い材料を使い、最低限の設備・スタッフ構成・治療方法、さらに時間を短縮することで成り立っています。しかし「治療の質」は確保されるのでしょうか。それで治るのでしょうか?アメリカと日本の治療の成功率の差はそこにあるのです!治療費も奥歯の根の治療をすると約1万円とアメリカとでは20~40倍の差があります。

歯は削ると戻らない。治療の成功率は人生を左右する。

今回は根の治療についてお話してきましたが、これは虫歯の治療、歯周病の治療でも同じことが言えるわけです。
治療を成功させるためには、最善な治療方法、技術、時間、コストが不可欠です。定期的に治療が必要になる。定期健診の度に治療を繰り返すことになる。そんな経験はありませんか?歯は一度削ったり、神経を抜いたりしてしまうともとには戻りません。治療を繰り返すことで歯の寿命は短くなります。誰もが「ずっと健康でいたい」「生涯、自分の歯で食事がしたい」と思うのではないでしょうか?

治療の成功率はその後の人生に大きく影響します。
あなたが今通っている歯科医院はそこまで考えて治療してくれていますか?
治療の際には、慎重に考えなければならないですね。

(歯科医師:中山俊太郎)

ありがちな歯科医院の選び方の落とし穴とは

ありがちな歯科医院の選び方の落とし穴とは

あなたは歯科医院を選ぶ時、どの様にして選んでいますか?
「早い・安い・近い」
すぐみてくれる、保険がきく、便利なところにある。
これがよくある歯科医院選びのポイントではないでしょうか?
今回は、この選び方が本当に正しいのか、一緒に考えていってみたいと思います。

「早さ」と「雑さ」は隣り合わせ

仕事が忙しい。平日に休みが取れない。出来れば都合の良い時にすぐに見てくれて、治療もすぐに終わる方がありがたい。そんなふうに思うのではないでしょうか。確かに早いに越したことはありません。

しかし、精密な検査、的確な診断、十分な術前処置、精密な治療、これらの事を考えた時には「早い」は当てはまらない様に思います。たとえ早く治療が済んでもまたトラブルが起こるようでは困るのではないでしょうか。

「安い」は、機材や方法のクオリティに反映される

世界的にも日本の医療保険制度はとても優れていると言われています。確かに、誰もが安価で最低限の医療を受けることが出来るので困ったときには便利です。しかし歯科の場合、使用する材料や方法に制限があり術後にトラブルが多いのも事実です。一度削った歯は元には戻りませんし、治療を繰り返すことで歯が悪くなることもわかっています。

「安い」ということは誰にとってもとても魅力的ではありますが、結果的(将来的)に「安くない」ことになってしまうかもしれません。「健康」はお金では買えません。病気にならない様に「健康に投資する」という考え方が必要かもしれませんね。

「近さ」よりも、しっかりと治療・予防ができるかどうか

仕事場や家の近く、駅前に歯科医院があれば、困った時や通うにはとても便利です。しかし、近くの歯科医院が「あなたが望むこと」を提供してくれるかどうかはわかりません。

例えば、「詰め物が取れたのでとりあえずつけてほしい」という望みであればどこの歯科医院でも叶うかもしれません。ただ、またすぐに詰め物が取れたり、痛くなったり、最悪の場合歯がダメになったりする可能性は十分にあります。

「歯周病を治したい」「虫歯を治したい」こんな望みならどうでしょう。実は歯周病はとても厄介な病気で、治すのがとても難しいと言われています。また、虫歯と言っても簡単な治療からとても難しい治療まで様々です。近くの歯科医院では治らないかもしれません。

さらに「歯周病の予防をしたい」「虫歯の予防をしたい」このような望みでは難易度が上がります。また、基本的に「病気の予防」は日本の医療保険制度に組み込まれていません。

「予防」にはシステムが必要で、歯科医院に予防のシステムがなければ「予防」にはならないのです。

歯科医院を選ぶことは、自分の歯の未来を選ぶこと

「歯科医院は何処に行っても一緒じゃないのですか?」「何処の歯科医院に行っていいかわからない。」という話をよく聞きます。

確かに、歯科治療の技術的な良し悪しは判断しづらく、「歯科医は私のために最善を尽くしてくれるに違いない。」そう信じるしかないこともあるでしょう。しかし、制度による制限などを理由にそうでないこともあるのが現実です。

もし、無意識に「早い・安い・近い」で選んでいたら、一度立ち止まってみてください。歯科医院を選ぶことは、自分の歯の未来を選ぶこと、慎重に選びたいですね。

(歯科医師:中山俊太郎)